仕事で空回りしてしまう新人へ|頑張りが成果につながらない理由と直し方

仕事で空回りしてしまう新人へ 頑張りが成果につながらない理由と直し方

悩める会社員

入社してから、やる気だけは誰にも負けないつもりで動いています。先回りして資料を作ったら「頼んでないよ」と言われ、気を遣って声をかけ続けたら疲れ切ってしまいました。元気に動いているのに評価されず、自分でも空回りしているなと感じます。先輩にも、少し落ち着いたらと言われました。

どらすた

頑張っているのに伝わらないのは、苦しいですよね。空回りは、やる気が足りないから起きるものではありません。むしろ、やる気がある人ほど起きやすいものです。今日は、空回りの典型パターン、なぜ起きるのか、直す順番、そう言われたときの受け答え、そして自分を責めすぎない考え方まで、順番に整理していきます。

この記事では、頑張りの向きと、職場から期待されている成果とのずれを整えることを扱います。自信のなさそのもの、作業の遅さ、質問の組み立て方、詰められたつらさ、職場での孤立、ミスの多さは、それぞれ別の記事で詳しく扱っているため、ここでは深入りしません。以下に出てくる会話や状況は、説明のための例です。自分の職場の状況に置き換えて読んでください。

空回りと言われたとき、最初に知っておきたいこと

「空回りしている」という言葉は、人格への評価のように聞こえて、強く刺さります。ただ、実際に起きているのは、とてもシンプルなことです。使っている力はあるのに、その力が相手の欲しい方向に向いていない。それだけです。

車で言えば、エンジンはかかっているのにギアがつながっていない状態です。エンジンが弱いわけではありません。つなぎ方を変えれば、同じ力がそのまま前に進む力になります。

つまり、空回りは「頑張るのをやめる」ことで直すものではありません。向きを合わせることで直すものです。頑張る力がある人は、向きさえ合えば伸びやすい人でもあります。

空回りの典型パターン

空回りには、よく見られる形がいくつかあります。自分に近いものがないか、確認しながら読んでください。

頼まれていないことを先にやってしまう

気を利かせて、頼まれていない資料を作っておく。先輩の作業を見て、手伝いのつもりで先に進めておく。善意で動いているのに、「それは今いらなかった」と言われてしまうパターンです。

例です。先輩が会議の資料を自分で整えるつもりでいたところに、新人が先に作って持ってきたとします。先輩は感謝しつつも、すでに自分の作り方で進めていたため、結局どちらかを選んで直す作業が増えてしまいます。誰も悪くないのに、手間だけが増える場面です。

相手には相手の段取りがあります。先に進められたことで、確認し直す手間や、やり直しの手間が生まれることもあります。善意が負担に変わってしまうのは、相手の頭の中の段取りが見えていないからです。

確認せずに自己判断で進めてしまう

聞くと迷惑かもしれない、自分で考えたほうが評価されるはずだ。そう思って、確認せずに進めるパターンです。出来上がったものが期待とずれていて、最初からやり直しになることがあります。

このときの本人の気持ちは、「時間をかけて頑張ったのに」です。一方で、相手の気持ちは「途中で一言あれば直せたのに」です。二人とも頑張っているのに、すれ違っています。

気を遣いすぎて、本題が遅れる

相手が忙しそうだから話しかけない。報告のタイミングを見計らっているうちに時間が過ぎる。前置きが長くなって、肝心の用件が最後になる。気遣いが強いほど、本題が遅れるというパターンです。

職場では、報告が遅れること自体が負担になる場面があります。相手が欲しいのは丁寧な前置きより、まず結論と状況であることが多いものです。気遣いの方向が、相手の欲しいものとずれている状態です。

頑張っている姿を見せることが目的になる

いちばん気づきにくいのが、このパターンです。遅くまで残る、忙しそうに動き回る、返信がやたら早い。努力の量を見せることで安心しようとして、成果そのものよりも「頑張っている」という見え方に力が向いてしまいます。

新人のうちは、評価されたい気持ちが強くて当然です。これは悪いことではありません。ただ、職場が見ているのは努力の量より、仕事が前に進んだかどうかであることが多いのです。

悩める会社員

全部に心当たりがあります。どうしてこうなってしまうのでしょうか。

どらすた

心当たりが多いのは、それだけ真剣に仕事に向き合ってきた証拠でもあります。原因は性格ではなく、仕組みにあります。次の章で説明しますね。

なぜ空回りが起きるのか。期待と努力の向きのずれ

四つのパターンに共通しているのは、「期待されている成果」と「自分が向けている努力」がずれていることです。

新人は、まだ職場の成果の基準を知りません。何をもって良い仕事とするのか、どこまでが自分の担当で、どこからが他の人の領域なのか。それが見えないまま、「とにかく頑張る」しか手がない状態になります。

基準が見えないとき、人は二つの方向に動きがちです。一つは、手当たり次第に何でもやる方向です。もう一つは、失敗しないよう慎重になりすぎる方向です。どちらも、空回りの入口になります。

ここで大事なのは、ずれを「自分の能力の問題」と考えないことです。基準がまだ見えていないのは、入って間もない人として自然な状態です。見えていないなら、見えるようにすればよいのです。そのための順番を、次に説明します。

空回りを直す順番

先に伝えておくと、ここで紹介する方法は、どれも小さなものです。大きく性格を変える必要も、人が変わったように振る舞う必要もありません。今日から一つだけ試す、という使い方で十分です。

直し方には順番があります。いきなり動き方を変えようとするより、先に「ゴールの見え方」をそろえるほうが、無理なく変えられます。

まず「何を期待されているか」を聞く

最初の一歩は、動き方を変えることではなく、期待を聞くことです。上司や先輩に、今の自分に何を期待しているかを、短く尋ねます。

期待を聞くときの言い方の例

「今の自分に、まず何を期待されているか教えていただけますか。優先して身につけるべきことを知りたいです」

「今月のうちに、どこまでできていれば安心できますか」

「自分で進めてよいことと、先に確認したほうがよいことの線引きを教えてください」

三つ目の質問は特に役に立ちます。「どこまで自分で決めてよいか」が分かるだけで、先回りしすぎる、確認しなさすぎる、という両方のずれが減ります。例文はそのまま使わず、職場の言葉づかいに合わせて調整してください。

聞くことに抵抗がある場合は、「気合いを入れて取り組みたいので、方向を合わせたいんです」と添えると、やる気の表れとして受け取ってもらいやすくなります。質問の仕方そのものに迷う場合は、何がわからないかわからないときの質問の仕方も参考にしてください。

動く前の確認の型を持つ

期待が分かったら、次は動く前の確認です。毎回長い相談をする必要はありません。短い型を決めておくと、迷ったときにすぐ使えます。

動く前の確認の型
  • 目的:この作業は、何のために必要ですか
  • 期限:いつまでに、どの状態であればよいですか
  • 範囲:どこまでが自分の担当で、どこまで進めてよいですか
  • 途中確認:いつ、どの段階で見せればよいですか

特に効くのが、途中確認です。完成させてから見せるのではなく、始めて少し進んだところで一度見せる。方向が違っていても、直す量が少なくて済みます。「頼まれていないことを先にやる」ときも、「やってもよいですか」と一言添えるだけで、善意がそのまま役に立つ形になります。

たとえば次のような一言です。例です。「資料の下書きを作っておいてもよいでしょうか。必要なければ破棄します」。相手は、いらなければ断れますし、欲しければ頼めます。

やらないことを決める

空回りしている人は、やることが増えがちです。頑張る人ほど、引き受けすぎて、どれも中途半端になります。そこで、やることを足す前に、やらないことを決めます。

  • 頼まれていない作業は、確認するまで着手しない。
  • 返信の速さを競わない。内容が整うまで、数十分置いてもよいと割り切る。
  • 遅くまで残ることで頑張りを示さない。終わった仕事は、終わったと伝えて帰る。
  • 気遣いの声かけは、用件を済ませてからにする。

何かを手放すのは不安です。ただ、手放すことで、本当に期待されていることに力を集められます。力を向ける先を減らすことは、手を抜くこととは違います。

成果の定義を上司と合わせる

最後に、成果の定義を上司と合わせます。これは一度で終わらず、節目ごとに行うものです。

たとえば週に一度、数分でかまいません。「今週の自分の仕事で、いちばん大事だったことは何でしたか」と聞いてみてください。自分が大事だと思っていたことと、上司が大事だと思っていたことが違っていたら、それが次に直すべきずれです。

もう一つ、合わせておきたいのは「良い状態の見本」です。過去に上司が評価した資料や報告のメールがあれば、見せてもらってください。言葉で聞くより、実物のほうが、期待の水準がはるかに具体的に伝わります。

成果の定義が合ってくると、頑張りがそのまま評価につながりやすくなります。評価されることで自信が少しずつ戻る面もありますが、自信のなさそのものが重いときは、仕事に自信がない新人への記事もあわせて読んでみてください。

悩める会社員

もし上司や先輩に直接「空回りしてるよ」と言われたら、どう返せばいいでしょうか。

どらすた

言われた瞬間は動揺しますよね。落ち着いて返すための言い方を、いくつか用意しておきましょう。

「空回りしている」と言われたときの受け答え

言われたときは、反射的に謝ったり、言い訳したりしたくなります。でも、実はこの場面は、期待を聞き出すいちばんの機会です。相手は、何かしらのずれを感じているからこそ、その言葉を出しているからです。

受け答えの例

「ご指摘ありがとうございます。どの場面でそう感じられたか、教えていただけますか」

「頑張る方向がずれていたのだと思います。今後は、どんな動き方を期待されているか知りたいです」

「先に確認したほうがよいことと、自分で進めてよいことを、具体例で教えていただけると助かります」

「今は余裕がなかったので、あらためて時間をいただいてもよいでしょうか」

ポイントは、その場で全部を解決しようとしないことです。一つでも「具体的な場面」を聞き出せれば十分です。「あのときの資料作成が」と分かれば、ずれの正体が見えてきます。

言い方がきついと感じる相手や、毎日のように詰められてつらい場合は、受け答えの工夫だけで抱えこまないでください。そのときは、仕事で詰められてつらいときの記事を参考にしてください。

空回りしていた自分を、責めすぎない考え方

空回りしてきたと気づくと、「自分は何をやっているんだろう」と落ち込みます。そこで、いくつか考え方を置いておきます。

  • 空回りは、意欲があることの裏返しでもある。意欲がなければ、そもそも空回りもしない。
  • ずれは、能力ではなく、情報の不足から生まれる。情報が足りなければ、集めれば直る。
  • 直す順番は決まっている。一度に全部を変えなくてよい。まず期待を聞くことだけで十分。
  • 気を遣いすぎて疲れるのは、感度が高いから。感度は、向きが合えば強みになる。

疲れが強いときは、動き方を変える前に休むことも大事です。眠れない日が続く、朝になると体が動かない、といった状態が続くなら、動き方の話ではありません。社内の相談窓口や、医療機関への相談も選択肢に入れてください。このブログでは、体調について診断することはできません。

今の職場でのやり方を整えても、ずれが解消しないこともあります。そのときは、部署の異動を相談する、環境を変えることを検討する、といった選択肢もあります。続けるか、変えるかは、どれも間違いではありません。ミスの多さも重なっているときは、新入社員で仕事のミスばかりのときの記事も、助けになるはずです。

状況に応じて、次に読む記事

今の状況に近いものがあれば、あわせて読んでみてください。

どらすた

空回りは、力がある人に起きるずれです。頑張りをやめる必要はありません。まず何を期待されているかを聞いて、動く前に確認して、やらないことを決める。この順番で、頑張りの向きを少しずつ合わせていきましょう。焦らなくて大丈夫ですよ。

今の状況を整理したい方へ

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