仕事のミスで落ち込む人へ|引きずらない切り替え方

仕事のミスで落ち込む人へ 引きずらない切り替え方

悩める会社員

今日、仕事で失敗してしまって、それからずっと頭の中でぐるぐる考えてしまっています。夜になっても全然切り替えられなくて……。

どらすた

それはつらいですね。ミスをした直後って、頭が勝手にその場面を繰り返し再生してしまうんですよね。今日はミスの直し方ではなく、その「引きずってしまう気持ち」とどう付き合うかだけを、一緒に考えていきましょう。

悩める会社員

何度も同じ場面を思い出してしまうのって、自分の性格がおかしいんでしょうか。

どらすた

おかしくありません。むしろ、真面目に仕事と向き合っている人ほど起きやすい反応だと言われています。まずはその仕組みから見ていきますね。

なぜミスをこんなに引きずってしまうのか

ミスをした日の夜、布団に入ってからも上司の顔や相手の声、自分が発した言葉が何度も頭の中で再生されてしまう。これは「反芻(はんすう)」と呼ばれる、誰にでも起こりうる心の働きです。牛が一度飲み込んだ食べ物を口に戻してまた噛むように、脳が同じ出来事を繰り返し処理しようとしている状態だと言われています。

本来、反芻には「同じ失敗を避けるために原因を探る」という意味があります。危険や失敗を記憶に強く刻んで、次に活かそうとする自然な仕組みです。ただ、この仕組みが働きすぎると、原因を探ることが目的ではなく、ただ同じ場面を苦しく繰り返し再生するだけになってしまいます。ここまでくると、反省というより自分を責め続けているだけの状態です。

興味深いのは、反芻が強く出やすいのは「いい加減な人」ではなく、責任感が強く、周りからどう見られているかを丁寧に考えられる人の方だという点です。ミスをそのままにできない誠実さがあるからこそ、頭が勝手に何度も検証を続けてしまう。引きずってしまう自分を「弱い」と責める必要はありません。それだけ仕事に対して真剣だったということでもあります。

反省と反芻の違いは、「次にどうするか」という具体的な行動にたどり着けるかどうかにあります。原因を考えて次の対策が浮かんだら、それはすでに反省としての役割を終えています。それなのに同じ場面を繰り返し思い出し続けてしまうなら、それはもう反省ではなく、ただ自分を苦しめているだけの反芻に入っている合図だと考えてみてください。

反芻が強くなっているときにおすすめなのが、「もし同じミスを友人がしたら、自分は何と声をかけるだろうか」と考えてみることです。他人に対しては「誰にでもあることだよ」と言えるのに、自分にだけは厳しい言葉を向けてしまう人は少なくありません。一度、自分を友人のように扱ってみる視点を持つだけでも、頭の中で繰り返される声が少しやわらぐことがあります。また、「あ、また同じ場面を繰り返し考えている」と気づいた瞬間に、一度深呼吸をして意識を今やっていることに戻すだけでも、ループが長引くのを防ぎやすくなります。

僕自身、新卒一年目の頃はミスをするたびに同じ場面を何度も思い返し、家に帰ってからも仕事のことばかり考えている時期がありました。当時は「切り替えられない自分がダメなんだ」と思っていましたが、今振り返ると、それは性格の欠陥ではなく、誰にでも起こりうる反芻という仕組みの一つだったのだと思います。仕組みを知っているだけでも、当時より少し楽に受け止められるようになった感覚があります。

とはいえ、反芻は放っておくと際限なく続いてしまう性質があります。次の章では、ミスをした「その日のうち」にできる、反芻を止めるための具体的な過ごし方を紹介します。

落ち込んだ当日、家に帰ってからの過ごし方

ミスをした日の夜は、一人で反省会を開かないことが何より大切です。頭の中だけで考え続けると、原因分析のつもりがいつの間にか自分を責めるだけの時間になってしまいます。ここでは、その日のうちにできる具体的な行動を紹介します。

考えるのを「明日の朝」に予約する

「今夜考えるのをやめる」というのは、実はかなり難しいことです。人は「考えないようにしよう」と思うほど、逆にそのことを考えてしまう性質があるからです。そこでおすすめなのが、考えるのをやめるのではなく、時間をずらすという方法です。「この件については明日の朝、出社前の10分だけ考える」と決めてしまい、頭に浮かんだ考えは「それは明日の自分に任せよう」と一旦保留にします。完全に忘れようとするより、こちらの方が実行しやすく、実際に頭の切り替えがしやすくなると言われています。

頭の中身を紙に書き出して外に出す

もやもやした気持ちを頭の中だけで抱えていると、同じ思考が延々とループしがちです。スマホのメモでも紙でもいいので、今考えていることをそのまま書き出してみてください。「何が起きたか」「何が悔しいか」「何が不安か」を文字にして外に出すだけで、頭の中がその分だけ軽くなります。書いたものを見返す必要はありません。書くこと自体が目的です。

体を動かす・湯船に浸かる

反芻は、じっと座って考え込んでいるときほど強くなりやすいと言われています。軽い散歩やストレッチ、シャワーではなく湯船に浸かるなど、体を動かしたり温めたりする時間を意識的に作ってみてください。体に意識が向くことで、思考のループから少し距離を置きやすくなります。

睡眠の優先順位を上げる

「眠れるまで考えてしまう」のではなく、「考えるのをやめて眠る時間を確保する」という発想に切り替えることも大切です。寝る前のスマホやカフェインを控える、いつもより少し早めに布団に入るなど、今日はとにかく眠ることを最優先にしてください。睡眠不足は翌日さらに気分を落ち込みやすくすると言われており、悪循環を断つ意味でも重要です。

誰かに話す(愚痴ではなく事実として)

一人で抱え込むより、信頼できる同僚や友人、家族に今日あったことを話すことも効果的だと言われています。ポイントは、感情をぶつける愚痴としてではなく、「今日こういうことがあった」という事実として話してみることです。声に出して整理するだけで、頭の中だけでループしていた考えに区切りがつきやすくなります。ただし、SNSに感情のまま投稿するのは避けてください。文字として残り、後から自分で読み返して気持ちがぶり返す原因になることがあります。

今日からできる3つの行動

・考えるのは「明日の朝10分だけ」と決めて先送りする
・頭の中の言葉を紙やスマホに書き出す
・湯船に浸かる、軽く歩くなど体を動かす時間を作る

悩める会社員

今夜はなんとか乗り切れそうな気がしてきました。でも、明日会社に行くのが正直かなり怖いです……。

どらすた

その気持ち、よくわかります。次は「翌朝、会社に行くのが怖いとき」にどう向き合えばいいか、お話ししますね。

翌朝、会社に行くのが怖いときの向き合い方

ミスをした翌朝は、玄関を出る前から気が重く、できれば休んでしまいたいと感じることもあると思います。ですが、多くの場合、出社して普段どおりに挨拶をするだけで十分です。特別なフォローの言葉や気の利いた振る舞いを用意する必要はありません。

ここで覚えておいてほしいのは、周囲は自分が思っているほど昨日のミスを覚えていない、ということです。自分にとっては一日中頭を離れなかった出来事でも、周りの人にとっては数ある業務の中の一コマに過ぎないことがほとんどです。もちろん直接関わった人への対応は必要ですが、それは「態度で示す」ことであって、必要以上に萎縮したり、避けたりすることではありません。

僕も新卒の頃、ミスをした翌朝は家を出る足取りが本当に重く感じました。それでも実際に出社してみると、怖かったのは「出社するまでの想像」の中だけで、席に着いて数分もすれば、いつもどおり仕事が始まっていくことがほとんどでした。怖さのピークは出社前にあり、出社してしまえば案外あっけなく過ぎていくというのは、覚えておいて損はないと思います。

そもそも、ミスをまったくしない社会人はいないと言われています。「自分だけがひどい失敗をした」という感覚は、視野が狭くなっているときほど強くなりがちです。周囲の先輩や上司も、これまでに数えきれないミスを重ねてきています。今の自分の姿は、決して自分だけの特別な失格ではありません。

もし怖さの中心が「また同じミスをしてしまうかもしれない」という不安であれば、それは気持ちの切り替えというより、ミスそのものへの対策が必要な段階かもしれません。特に入社してまだ日が浅く、ミスが続いてしまっている場合は、新人がミスを減らすための考え方も合わせて読んでみると、不安の正体が見えてくることがあります。2年目前後でミスが重なっている場合は、2年目のミス対策の記事も参考になるはずです。

引きずりやすい性格と、長期的にどう付き合うか

一度や二度、今回紹介した方法で切り替えられても、そもそも引きずりやすい性格そのものは、なかなかすぐには変わりません。ここで大切なのは、性格を「直す」のではなく、「付き合い方を変える」という考え方です。

引きずりやすさの根っこには、完璧主義的な考え方や、他人からの評価を軸に自分の価値を判断する癖が関わっていることが多いと言われています。「ミスをしない自分」でいたい気持ちが強いほど、ミスをした自分を許せなくなりますし、「あの人にどう思われただろう」という視点が強いほど、相手の反応を過剰に読み取ってしまいます。

これを一気に変えようとする必要はありません。まずは「100点でなくても仕事は回っている」という事実に、小さく気づく練習から始めてみてください。今日のミス以外に、今週きちんとできていたことを一つでも思い出してみる。それだけでも、評価の軸が「今回の失敗」だけに偏るのを防ぐ助けになります。

あわせて、うまくいったことを小さくメモしておく習慣もおすすめです。特別な出来事でなくて構いません。「今日は報告を早めにできた」「質問にきちんと答えられた」程度で十分です。失敗した記憶は強く残りやすい一方で、うまくいった記憶は流れていきやすいので、意識して記録に残すことで、評価の軸が失敗だけに偏るのを防ぎやすくなります。

他人からの評価が価値基準の中心になっていると、一度のミスで自己評価が大きく揺らいでしまいます。少しずつでいいので、「他人にどう思われたか」ではなく、「自分は今日何を大事にして仕事をしたか」という内側の基準に目を向ける練習をしてみてください。すぐに切り替わるものではありませんが、日々の小さな振り返りの積み重ねが、引きずりやすさをゆるやかに和らげていくと言われています。

こうした付き合い方は、一朝一夕に身につくものではありません。今日うまくいかなくても、また明日、同じように小さく気づく練習を重ねていけば十分です。焦らず、長い時間をかけて緩めていくものだと捉えておいてください。

また、同じようなミスや落ち込みが繰り返し続いて抜け出せない感覚があるなら、それは性格だけの問題ではなく、仕事の進め方や職場の環境が影響している可能性もあります。そうした「失敗が失敗を呼ぶ」ループに心当たりがある場合は、失敗が続いてしまうときの原因と対処法もあわせて読んでみてください。性格の問題だと思い込んでいたものが、実は仕組みの問題だったと気づけることもあります。

悩める会社員

実は今日だけじゃなくて、ここ最近ずっとこんな感じで、あまり眠れていないし、食欲もあまりないんです。

どらすた

それは今日お話しした切り替え方だけで乗り越えようとしなくて大丈夫なサインかもしれません。最後に、そのあたりについてお話しさせてください。

「切り替え方」では対処しきれない、深刻なサインの見分け方

ここまで紹介してきたのは、一時的な落ち込みを引きずらないための工夫です。ただし、以下のような状態が数日以上続いている場合は、気持ちの切り替え方の問題ではなく、心と体を休める段階に入っている場合があります。

こんな状態が続いていないか、確認してみてください

・夜、眠ろうとしてもなかなか眠れない状態が何日も続いている
・食欲がわかない、または食事の味がしないと感じる
・仕事のことを考えると涙が出てくる
・朝、体が重くてどうしても起き上がれない
・会社に行くこと自体を考えられないほどつらい

ここで挙げた項目は、自己診断のためのものではありません。当てはまる数の多さや期間に関わらず、「いつもの自分と違う」と感じる状態が続いているなら、それ自体が休養や相談を考えるきっかけとして十分です。特に、これまで当たり前にできていた朝の身支度や簡単な家事にまで手が回らなくなっている場合は、見過ごさない方がいいサインだと言われています。

こうしたサインは、根性や気の持ちようだけでどうにかできるものではないと言われています。一人で抱え込まず、早めに誰かに相談することが、結果的に一番の近道になります。会社の産業医や人事の相談窓口のほか、厚生労働省が運営するこころの耳のような公的な相談窓口を利用するのも一つの方法です。医療機関を受診することも、決して大げさなことではありません。

「これくらいで相談していいのだろうか」とためらう人も多いですが、体調や気持ちにこうしたサインが出ている時点で、それはすでに相談していい状態です。早めに相談することは甘えではなく、状態が悪化する前に手を打つための、有効な対処だと言われています。

また、「会社に行きたくない」という気持ちがすでに強く出ている場合は、会社に行きたくないほど気持ちが落ち込んでいるときの記事もあわせて参考にしてみてください。今の状態に近い部分が見つかるかもしれません。ミスを引きずってしまうのは、それだけ真剣に仕事と向き合ってきた証でもあります。無理に前向きになろうとせず、今日できることから少しずつ、自分のペースで切り替えていってください。

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