仕事のケアレスミスが多い人へ|仕組みで減らす対策

仕事のケアレスミスが多い人へ 仕組みで減らす対策

悩める会社員

最近、仕事で細かいミスばかりしてしまいます。数字を打ち間違えたり、メールの宛先を間違えたり、上司から指摘されるのはいつも同じような凡ミスです。自分は注意力が足りないんじゃないかと思って、正直へこんでいます。

どらすた

わかります。僕も新人のころ、同じようなことで悩んでいました。ただ先に言っておくと、ケアレスミスが多いのは性格の問題というより、ミスが起きやすい条件がそろっているだけ、ということが多いんです。今日はその条件と、仕組みで減らす具体的なやり方を一緒に整理していきましょう。

ケアレスミスは「注意力不足」ではなく起きる条件がある

仕事でのケアレスミスというと、真っ先に「注意力が足りない」「そそっかしい性格」といった原因が思い浮かびがちです。ですが、ミスの起きやすさには本人の性格以上に、そのときの状況が大きく関わっていると言われています。代表的な条件として、次の4つが挙げられます。

ひとつめは「急ぎ」です。締め切り直前や、上司から急かされている状況では、確認の手順を飛ばしてしまいやすくなります。ふたつめは「割り込み」です。作業の途中で電話や声かけが入り、中断した箇所から再開するときに、どこまで終えたか勘違いしたまま進めてしまうケースです。みっつめは「思い込み」です。「いつもこの形式だから」「たぶんこうだろう」という予測が、実際の指示や数字とずれていることに気づけないまま進んでしまいます。よっつめは「疲労」です。集中力が落ちている時間帯や体調がすぐれない日は、普段なら気づける違和感を見逃しやすくなります。

たとえば、月末の請求書処理を思い浮かべてください。普段なら金額と品目を照らし合わせながら丁寧に入力できる作業でも、月末で件数が重なり、しかも上司から「今日中に頼む」と言われた状態では、桁の見間違いや転記ミスが起きやすくなります。これは能力が急に落ちたわけではなく、急ぎという条件が重なった結果と考えると分かりやすいと思います。同じように、電話対応のあとに元の作業へ戻ったとき、どこまで入力していたかを勘違いして二重に入力してしまう、といったミスも、割り込みという条件がそろったことで起きていると考えられます。

悩める会社員

たしかに、急いでいるときや、電話で作業を中断されたあとにミスが多い気がします。単純に気をつければいいと思っていました。

どらすた

そこがポイントです。「気をつける」という意志の力だけでは、急ぎや割り込みが起きるたびに同じ確率でミスが出てしまいます。条件が分かっているなら、その条件が起きても崩れない仕組みを先に用意しておくほうが、ずっと現実的なんです。

「気をつけます」が対策にならない理由

上司にミスを指摘されたとき、多くの人がとっさに「気をつけます」と答えてしまいます。ですが、この言葉は反省の表明にはなっても、次の同じ場面で行動を変える仕組みにはなっていません。人の注意力は常に一定ではなく、忙しさや体調によって上下するものだと言われています。だとすれば、注意力そのものを底上げしようとするより、注意力が落ちた状態でもケアレスミスに気づける手順を、あらかじめ作業の中に組み込んでおくほうが再現性があります。

僕自身、新卒でIT企業に入社した直後は、この考え方にまったく気づけていませんでした。資料の数字を転記する作業で桁を間違えたり、送信先のメールアドレスを一文字違いで打ち間違えたりすることが続き、そのたびに「次から気をつけます」と口にしていました。ただ、実際には同じような場面で同じようなミスを繰り返していて、意志の力だけではどうにもならないと痛感したのを覚えています。当時の職場では、資料を作ったらすぐに提出するのが当たり前になっていて、見直す時間をほとんど取っていませんでした。ミスを指摘されるたびに恥ずかしさと焦りが先に立ち、次はもっと集中しよう、もっと丁寧にやろうと自分に言い聞かせるだけで、具体的な行動は何も変えていなかったのだと思います。その後、第二新卒でベンチャーのIT企業に転職してから、資料を作り終えたらすぐに提出するのではなく、いったん別の作業を挟んでから読み返す、数字が出てくる箇所は声に出して確認する、という手順を自分の中でルールとして決めました。ルールとして先に決めてしまうと、気分や忙しさに左右されずに同じ手順を踏めるようになり、体感としてもミスの数が落ち着いていきました。ミスをした直後の気持ちの整理については気持ちの切り替え方をまとめた記事も参考にしてみてください。

場面別・仕組みで減らす具体的な対策

ここからは、先ほど挙げた急ぎ・割り込み・思い込み・疲労という条件に対して、実際にどんな仕組みを用意しておくと防ぎやすくなるかを、場面ごとに具体的に見ていきます。すべてを一度に取り入れる必要はないので、自分の仕事内容に近いものから試してみてください。

提出前セルフチェックの型を決める

資料やメールを送る前のセルフチェックは、やり方を決めておくことで精度が上がります。おすすめは「時間を置いて読み返す」「声に出して読む」「画面ではなく印刷して見る」の3つです。作成した直後は自分の書いた内容に慣れてしまい、間違いがあっても違和感を覚えにくくなります。数分でも時間を置いてから見直すと、他人の文章を読むような感覚で違和感に気づきやすくなると言われています。声に出して読むのも同様で、目だけで追うより情報の入り方が変わるため、数字の読み間違いや助詞の抜けに気づきやすくなります。画面と紙とでは目に入る情報の見え方が変わるため、重要な資料は一度印刷して確認するのも有効です。たとえば見積書の金額であれば声に出して読むことで一桁の読み飛ばしに気づきやすくなりますし、メールの宛先であれば送信ボタンを押す前にアドレス欄だけを拡大して確認する、といった使い分けもできます。3つとも毎回すべて行う必要はなく、資料の重要度に応じて組み合わせを変えるだけでも、十分に効果を感じられると思います。

チェックリストを作って運用する

毎回同じ観点で確認したいものは、チェックリストにしておくと抜け漏れが減ります。作り方のコツは、過去に自分がやってしまったミスをそのまま項目にすることです。「宛先とCcを確認したか」「金額の桁を声に出して読んだか」「添付ファイルは最新版か」など、実際にあった失敗を具体的な文言で書き出しておくと、抽象的な「注意する」という項目より実行しやすくなります。チェックリストは一度作って終わりではなく、新しいミスが起きるたびに項目を追加し、逆に形骸化した項目は消していく運用が続けやすいです。たとえば経理関連の書類であれば「消費税の計算は合っているか」「振込先口座は最新のものか」、社外向けメールであれば「宛先とCcは正しいか」「敬称は抜けていないか」というように、業務の種類ごとにリストを分けておくと使い勝手が良くなります。紙のメモでもスマートフォンのメモアプリでも構わないので、作業を始める前に毎回目を通す場所に置いておくことが、リストを実際に機能させるコツです。仕事のメモ全般の取り方についてはメモの取り方をまとめた記事で詳しく扱っています。

ダブルチェックを頼むときのコツ

一人での確認に限界を感じたら、同僚や上司にダブルチェックを頼むのも仕組みのひとつです。頼み方としては、「全体を見てください」ではなく、「この金額と宛先だけ確認してもらえますか」というように、見てほしい箇所を絞って伝えるほうが、相手も確認しやすく、精度も上がりやすくなります。全部を丸投げするお願いの仕方だと、相手の負担が大きくなり頼みにくくなってしまうので、自分でできる範囲は先に済ませたうえで、不安が残る部分だけをピンポイントで頼むのがコツです。たとえば「資料ができたので確認をお願いします」とだけ伝えると、相手は資料全体を隅々まで見なければならず、時間もかかるうえに見落としも起きやすくなります。一方で「金額と提出期限のところだけ確認してもらえますか、ほかは自分で見直し済みです」と伝えれば、相手は短時間で的確に確認でき、こちらも本当に不安な箇所を重点的に見てもらえます。

割り込みで中断したときの復帰メモ

作業の途中で電話や声かけが入ったときは、中断する直前に「どこまで終えたか」「次に何をする予定だったか」を一行だけメモしておくと、再開したときの勘違いを防ぎやすくなります。付箋でもメモ帳のアプリでも構いません。重要なのは、頭の中の記憶だけに頼らず、外に書き出しておくことです。中断と再開を繰り返す仕事ほど、この一行メモの効果を感じやすいと思います。たとえば見積書の入力中に上司から声をかけられて別件の相談に対応した場合、戻ってきたときに「どの行まで入力したか」を覚えているつもりでも、実際には数行ずれていたということが起こりえます。中断する直前に「A社の分まで入力済み、次はB社から」と一行書いておくだけで、こうした勘違いをかなり防げます。

ケアレスミスが出やすい時間帯や状態を把握する

自分がどんな状態のときにミスをしやすいかを把握しておくのも有効です。午後の眠くなる時間帯、締め切り直前、複数の案件を同時に抱えているときなど、人によって傾向は異なると言われています。傾向がつかめたら、その時間帯には重要な確認作業を避けて別のタイミングに回す、といった対応が取れるようになります。たとえば午後に眠くなりやすい人であれば、重要な確認作業は午前中に回し、午後は比較的ミスをしても取り返しやすい作業に充てる、といった調整ができます。複数の案件を同時に抱えているときにミスが増えやすいと感じるなら、案件ごとに区切りをつけてから次に進む、といった工夫も有効です。

提出前チェックの型

時間を置いてから読み返す/声に出して読む/画面でなく印刷して見る、の3つを組み合わせるだけでも、見直しの精度は変わってきます。まずはこの3つから試してみてください。

同じケアレスミスを繰り返さないための記録術

対策を重ねてもケアレスミスがゼロになるわけではありません。そこで役に立つのが、ミスをした条件を記録しておく方法です。ミスに気づいた時点で、「いつ」「どんな作業中に」「どんな状態だったか」を簡単にメモしておきます。忙しかったのか、疲れていたのか、誰かに話しかけられた直後だったのか、といった条件を書き溜めていくと、自分がケアレスミスをしやすいパターンが見えてきます。パターンが分かれば、そこだけ対策を厚くすればよいので、闇雲に「もっと注意する」と意気込むよりも効率的です。記録の形式は難しく考える必要はなく、「9月3日、見積書の金額入力で桁を間違えた、締め切り直前で急いでいた」というように、一行の日記のような書き方で十分です。数週間分たまってくると、「締め切り直前」や「電話対応の直後」といった条件が繰り返し出てくることに気づくはずです。そこが分かれば、その条件のときだけ特に慎重にチェックする、という的を絞った対策が取れるようになります。

悩める会社員

記録するだけでも意味があるんですね。てっきり、ミスをしたことを忘れたいから記録なんてしたくないと思っていました。

どらすた

気持ちは分かります。ただ記録は反省文ではなく、自分専用のデータを集める作業だと考えると気が楽になると思います。数がたまってくると、自分でも気づかなかった傾向が見えてくることがありますよ。誰かに見せるための記録ではないので、正直に書いておくことが後々役に立ちます。

対策しても減らないときに疑うこと

ここまでの対策を試しても状況があまり変わらない場合、原因が個人の工夫だけでは埋まらないところにある可能性も考えられます。ひとつは業務量そのものが多すぎて、確認の時間を十分に取れていないケースです。もうひとつは、今の仕事の進め方や環境が自分の得意な働き方と合っていないケースです。細かい数字を長時間扱う作業が苦手な人もいれば、逆に得意な人もいるため、仕組みを整えても改善が乏しいときは、業務量の調整を相談したり、担当する仕事の内容を見直してもらったりすることも選択肢に入ってきます。業務量が明らかに多すぎる場合、対策の工夫だけでケアレスミスを減らすのは難しくなるため、担当している仕事の量や納期について上司に率直に相談してみることも選択肢のひとつです。また、細かい数字や書類を扱う仕事そのものが自分の得意分野と離れていると感じる場合は、部署異動や担当替えを相談してみることも考えられます。ミスが続いて負のループに陥っているように感じる場合は、失敗が続く負のループの構造を整理した記事も参考にしてみてください。なお、対策を重ねても仕事に著しく支障が出るほど改善しない場合は、専門家や産業医に相談してみるのもひとつの方法です。

入社してすぐの時期や、2年目くらいまでは、仕事の全体像がまだつかめておらず、ミスが目立ちやすい時期でもあると言われています。若手のうちにミスが続くことについては入社2年目でミスが続く悩みを扱った記事にも書いているので、あわせて読んでみてください。

ミスを記録するときのメモ

いつ/どんな作業中に/どんな状態だったか、の3点だけを短く書き残しておくと、後から見返したときに自分の傾向がつかみやすくなります。

悩める会社員

気をつけるという気持ちだけでなく、仕組みを作るという発想に変えてみます。

どらすた

その意識の切り替えができれば十分です。全部を一気にやろうとせず、まずはセルフチェックの型かチェックリストのどちらか一つから試してみてください。小さな仕組みでも、続けていくうちに確認が習慣になり、意識しなくても手が動くようになっていきますよ。

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