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マターとは?意味をわかりやすく解説
マターとは、ある案件や課題について「誰が担当するか」「どの部署が責任を持って対応するか」という所管・担当範囲を示すビジネス用語です。

「営業部マター」「〇〇さんマター」「役員マター」というように、名詞の後ろに付けて使うのが基本の形です。誰の責任範囲にある話なのかを一言で示せる便利さから、部署をまたぐプロジェクトや複数人が関わる案件で特に重宝されています。
似た言葉に「担当」がありますが、マターは単に作業を割り振られているという以上に、最終的な判断や意思決定の権限と責任がどこにあるかというニュアンスを含むことが多い言葉です。誰が実務をやるかではなく、誰がボールを持っているのか、誰が決めるべきなのかを表す場面で使われます。
配属されたばかりの頃は、マターという言葉自体になじみがなく、会話の中で急に出てきても意味を聞き返しづらい、という人も多いはずです。実はビジネス特有の言い回しであって、日常会話ではほとんど使われない言葉なので、知らなくて当然とも言えます。
特に関わるステークホルダーが多い案件では、「これは誰の話か」が曖昧なまま進むと、対応が後手に回ったり、責任の押し付け合いが起きたりしがちです。マターという言葉は、そうした状況を防ぐために「所管をはっきりさせる」目的で使われています。
口語的な響きが強く、社内会議やチャットでのやり取りで頻繁に登場する一方、正式な稟議書や契約書などのフォーマルな文書ではあまり使われません。あくまでカジュアルな社内コミュニケーションの語彙として定着している言葉です。
マターという言い方が広く使われるようになった背景には、部署や役割が細かく分かれた組織で、誰が最終的に責任を持つのかをそのつど長い言葉で確認していては効率が悪い、という事情があります。「〇〇マター」の一言で済ませられることが、会議や日々のやり取りのスピードを上げている側面もあります。
語源(英語表記)
マターの英語表記は matter です。英語の matter は本来「問題」「事柄」「重要なこと」を意味する名詞・動詞で、”It doesn’t matter”(それは重要ではない)のように使われます。
一方、日本のビジネスシーンで定着している「〇〇マター」という、名詞の後ろに付けて「誰の担当・所管か」を示す使い方は、英語圏で一般的な matter の使い方とは少し異なる、和製的なビジネス英語表現だと言われています。英語ネイティブに “that’s your matter” と言っても、担当者を指す意味ではうまく伝わらないことが多いようです。
厳密な由来ははっきりしていませんが、外資系企業や商社、コンサルティングファームなど英語混じりの言葉遣いが社内で日常的に使われる職場から広まり、それが日本企業全体に少しずつ浸透していったという見方が一般的です。英語の意味そのままではなく、日本の組織文化の中で独自に育った表現だと捉えておくとよいでしょう。
日本語に訳すなら「担当」「所管」「責任範囲」に近いニュアンスです。カタカナ語としての定着度は高く、特にIT・コンサル・広告など、部署横断のプロジェクトが多い業界の職場で日常的に使われています。新卒・若手のうちは戸惑うことが多い言葉ですが、覚えてしまえば非常に便利な表現です。
身近なマターの例
営業部マター: 顧客対応や契約条件の調整など、営業部門の判断で進めるべき案件のことです。例えば見積もりの提示や納期の交渉といった、顧客と直接やり取りする判断の多くがこれにあたります。
〇〇さんマター: 特定の個人が担当者・責任者として案件を持っている状態を指します。上司から部下への割り振りだけでなく、部下自身が「これは自分の仕事だ」と自覚する意味でも使われます。
役員マター: 現場では決めきれず、役員クラスの承認や判断が必要になる案件です。予算の承認や全社に影響する意思決定などが典型例です。
他部署マター: 自分の部署の管轄外にあり、別の部署が対応すべき案件のことです。例えば人事制度や社内システムの変更は、現場の一社員が動くのではなく人事部や情報システム部のマターになります。
クライアントマター: 自社ではなく取引先側で対応・判断すべき事柄のことです。「その部分は先方マターなので、こちらからは口を出せません」といった使い方をします。
未マター: どこの部署・誰の担当かがまだ決まっていない、宙に浮いた状態の案件を指すこともあります。新しく発生した課題によく見られる状態です。
ビジネスでの使い方
マターは、会議や進捗報告の場面で「誰がこの件を進めるか」を確認するときによく登場します。「この件は営業部マターなので、私たちのほうでは動きません」「その調整は〇〇さんマターでお願いします」といった具合です。
アジェンダに載っている項目をひとつずつ確認していく中で、「これって結局どこマターだっけ?」という一言が出てくることも珍しくありません。所管がはっきりしていない項目をそのままにしておくと、次のMTGまで誰も手を付けないまま時間だけが過ぎてしまうこともあります。
また、複数の候補があって優先度を決めかねている場合には、「この判断は誰マターか」を先に決めてから話し合うと、議論がスムーズに進みやすくなります。プライオリティーの判断そのものを誰がするのかを最初に確認しておく、ということです。
日報や週報などの定例報告でも、「進捗が止まっている理由」を書くときにマターという言葉が使われます。「先方マターで止まっています」「〇〇部マター待ちです」といった書き方は、自分の手を離れたことを明確にしつつ、次に誰が動く番なのかを示す言い方として便利です。
マターをはっきりさせることの実務的な意味
仕事が止まる一番の原因は、実は「難しい課題」そのものよりも「ボールが誰にあるか分からない状態」であることが少なくありません。担当が曖昧なまま案件がペンディングになり、誰も動かないまま時間だけが過ぎていく、というのはよくある光景です。マターをはっきりさせることは、こうした停滞を防ぐための実務的な工夫と言えます。
そのために有効なのが、会議の終わりに「これは誰マターか」を確認する習慣です。決定事項や次のアクションが出たら、それが誰の所管なのかをその場で言葉にしておくと、後から「言った・言わない」のすれ違いが起きにくくなります。
自分マターになったものについては、抱え込まずに期限も一緒に決めることが大切です。マターを引き受けるということは、その案件にコミットすることでもあります。いつまでに何をするかを合わせて明言しておくことで、周囲も安心して任せることができますし、自分自身も進め方を見失いにくくなります。
一方で、他部署マターの案件に勝手に手を出すのは避けたほうがよい場面もあります。所管を越えて動くと、本来の担当者とのカウンターパート関係が崩れたり、二重対応で混乱を招いたりすることがあるためです。良かれと思って先方に連絡してしまい、正式な担当者との話と食い違って余計にややこしくなる、というのはありがちな失敗パターンです。気になる動きがあれば、まずは担当者や上司に一声かけてから関わるのが無難です。
逆に、誰にも所管が引き受けられていないイシューは、放置されるほど後から対応するコストが膨らみやすくなります。「これは誰マターですか」と最初に声を上げること自体が、若手であっても十分に価値のある行動だと言えます。
ただし、正直に言うと「これは自分のマターじゃないから知らない」という言い方が、部署間の縦割りを正当化する言い訳として使われてしまう場面もあります。マターの線引きは、あくまで責任の所在をはっきりさせて仕事を前に進めるためのものであって、困っている人や案件を見て見ぬふりをしてよい理由にはなりません。所管の外であっても、気づいたことを共有したり、担当者につなぐくらいの協力はしておきたいところです。
会話例文
類語との違い
担当との違い: 「担当」は主に実務を行う人を指す言葉ですが、マターはそれに加えて判断や責任の所在まで含むニュアンスが強い言葉です。例えば「資料作成の担当」とは言っても「資料作成のマター」とはあまり言わず、判断の権限が絡む場面ほどマターが使われる傾向があります。
所管との違い: 「所管」は組織上どの部署の管轄かを示すフォーマルな言葉で、公的な文書でも使われます。マターはその口語版に近く、社内の会話やチャットで気軽に使われる点が異なります。「所管部署」とは言っても「所管部署マター」とはあまり言わない、と考えると違いがつかみやすいはずです。
オーナーシップとの違い: 「オーナーシップ」は当事者意識や主体的に取り組む姿勢そのものを指す言葉です。マターが「誰の話か」という所在を示すのに対し、オーナーシップは「その人がどう向き合うか」という態度に焦点があります。マターを持っていても、オーナーシップが低く主体的に動けていない、という状態も起こり得ます。
関連用語
マターとあわせて理解しておくと、仕事の担当範囲や進め方が整理しやすくなる用語です。
ほかのビジネス用語はビジネス用語集一覧から探せます。
まとめ
マターとは、案件や課題について「誰が担当し、誰が責任を持って判断するか」という所管を示す言葉です。「営業部マター」「〇〇さんマター」のように名詞の後ろに付けて使い、部署をまたぐ仕事が多い職場ほど頻繁に登場します。
英語の matter 自体は「問題・事柄」を意味する言葉であり、日本のビジネスシーンで定着している「誰々マター」という使い方は、和製的に発展してきた表現です。語源を知っておくと、この言葉が持つ独特のニュアンスも理解しやすくなります。
実務の上で大切なのは、マターを「縦割りの言い訳」にしないことです。所管をはっきりさせるのは、仕事を前に進めるためであって、担当外のことに無関心でいい理由ではありません。会議の終わりに「これは誰マターか」を確認し、自分マターになったものは期限も一緒に決めて向き合う。そうした小さな習慣の積み重ねが、チーム全体の仕事の停滞を減らしていきます。
入社したばかりの頃は、誰かに「これは君マターね」と言われても、どこまで自分で判断していいのか分からず戸惑うこともあると思います。そんなときは抱え込む前に、期限と一緒に「困ったら誰に相談すればいいか」も確認しておくと、後で立ち止まりにくくなります。
若手のうちは「マターと言われても実感が湧かない」という人も多いはずです。まずは自分の身の回りの案件について、「これは誰の所管なのか」を意識するところから始めてみてください。
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