悩める会社員
どらすた
目次
「誰にも相談できない」と感じるのは珍しいことではない
転職を考え始めた人の多くが、最初にぶつかるのが「誰に相談すればいいのか分からない」という壁だと言われています。社内の人には転職を考えていること自体を知られたくない、家族に話すと必要以上に心配をかけてしまいそうで言い出しにくい、友人に話しても共感はしてもらえても具体的な話には進みにくい、といった事情が重なって、結果的に一人で抱え込んでしまう人が少なくありません。
さらに、転職を考えていること自体を「まだ誰にも言えるほど固まっていない」と感じてしまい、相談のタイミングを逃してしまう人も多いようです。気持ちが完全に固まってから相談しようとすると、いつまでたっても相談する日は来ません。むしろ、考えがまとまっていない段階だからこそ、誰かに話してみることで頭の中が整理される、という順番のほうが自然だと僕は思っています。
ここで一度立ち止まって考えたいのは、そもそも「相談相手は一人に絞らなければいけない」わけではない、ということです。相談相手にはそれぞれ得意な領域と苦手な領域があります。気持ちを整理したいときに向いている相手と、生活面の現実を一緒に考えてくれる相手と、業界や職場の実情を教えてくれる相手は、たいてい別の人です。一人の相手にすべてを求めてしまうと、「思ったような答えが返ってこなかった」という理由で相談すること自体をやめてしまいがちです。
僕自身、最初の会社を辞めようか迷っていたころ、誰に話すべきか決めきれずに何週間も一人で悩んでいた時期がありました。振り返ると、あのとき相談を先延ばしにしていた一番の理由は、相談相手を間違えることへの不安だったように思います。相手ごとに得られるものが違うと分かっていれば、もっと早く、もっと気軽に相談できていたはずです。まずはそれぞれの相手の特徴を、正直に整理していきます。
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相談相手別のメリットと注意点
友人・同年代
気心の知れた友人や同年代の相手は、一番相談しやすい存在です。立場が近いぶん共感してもらいやすく、話すだけで気持ちが軽くなることも多いでしょう。ただし、同じような経験や情報量を持つ相手であることが多いため、判断材料そのものはあまり増えません。「大変だったね」「分かるよ」で会話が終わってしまい、次にどう動くべきかまでは深まりにくい、という限界があると考えておいたほうがよさそうです。気持ちを吐き出す相手として位置づけるのが向いています。
僕自身も、転職を考え始めた当初は、まず同期に話を聞いてもらうところから始めました。共感してもらえたことで気持ちはかなり軽くなりましたが、「じゃあ次にどう動けばいいか」という具体的な部分は、結局自分で調べるしかありませんでした。友人への相談は、行動の後押しにはなっても、行動そのものの答えを出してくれるわけではない、と割り切っておくと期待とのずれが少なくなります。
家族・パートナー
家族やパートナーは、収入や引っ越し、将来の家族計画といった生活面の視点を一緒に考えてくれる、貴重な相談相手です。転職は生活そのものに関わる決断なので、身近な人の意見を聞いておく意味は大きいと思います。一方で、家族やパートナーは自分以上に「安定」を優先しがちで、転職そのものに反対されやすい傾向があるとも言われています。特に、今の会社に不満はあっても大きなトラブルがあるわけではない場合、「せっかく入った会社なのにもったいない」という反応が返ってくることも少なくありません。
反対されたからといって、それが間違っているとは限りませんが、心配からくる反対と、状況を理解したうえでの反対は分けて受け止める必要があります。感情的に反発してしまうと、以降の相談自体がしづらくなってしまうので、まずは反対の理由を落ち着いて聞いてみるとよいでしょう。なお、辞めたい気持ちそのものがまだ固まっていない段階で家族に話すと、話がかみ合わずすれ違いが起きやすいので、辞めたい気持ちの整理の仕方を先に済ませておくと、家族との会話もスムーズになります。
職場の上司・同僚
職場の上司や同僚への相談は、原則として慎重に判断したほうがよい相手です。転職を考えていることが社内に伝わってしまうと、評価や人間関係に影響が出るリスクがあるためです。悪気なく話した内容が思わぬ形で広まってしまい、居心地が悪くなったという話も耳にします。ただし、日頃から信頼関係があり、口が堅いと分かっている相手であれば、「転職するかどうか」ではなく「今のキャリアの方向性について悩んでいる」という形で、限定的に相談してみる方法もあります。伝える範囲や言葉選びを自分でコントロールできる相手かどうかを、話す前に一度冷静に見極めておくことをおすすめします。少しでも迷いがあるなら、社内の人よりも先に、次に紹介する社外の相手に話してみるほうが安全だと思います。
会社の外の先輩・その業界にいる知人
社外の先輩や、気になっている業界にいる知人は、実情を聞ける貴重な相手です。求人票だけでは分からない社風や忙しさ、実際の年収感覚など、社内の人には聞きにくいことも、利害関係のない相手になら率直に聞きやすいでしょう。転職経験のある先輩であれば、相談相手をどう選んだかという実体験そのものも参考になります。ただし、その人自身の経験や職場に話が偏る可能性はあるので、一人の話をそのまま全体像として受け取らず、あくまで一つの事例として参考にする姿勢が大切です。複数人から話を聞けると、より実情に近い像が見えてきます。
公的窓口
残業代が支払われない、ハラスメントを受けているといった、労働条件そのもののトラブルが絡んでいる場合は、キャリアの相談とは別に、法的な整理が必要になることがあります。こうした話は身近な人には打ち明けにくく、かといって職場の人には相談しづらいものです。こうしたケースでは、都道府県労働局の総合労働相談コーナーのような公的な窓口に相談することもできます。転職するかどうかとは切り離して、まずは今の労働条件が適切かどうかを確認しておくと、その後の判断もしやすくなります。
転職エージェント
転職エージェントは、求人紹介と選考支援のプロとして、個人では集めにくい市場の情報を持っています。今の職務経歴でどのくらいの求人があるのか、業界の採用動向はどうなっているのか、書類や面接でどこを見られやすいのか、といった話は、エージェントならではの視点として聞く価値があります。一人で転職活動をしていると気づきにくい、自分の経歴の強みや弱みを客観的に指摘してもらえるのも利点です。
一方で、エージェントは求人への紹介が成立することで収益が発生する営利の仕組みで成り立っている、という事実も知っておく必要があります。この構造自体が悪いわけではありませんが、紹介先の企業に決めてもらうことがエージェント側の成果につながる、という前提を理解しておくことは大切です。そのため、業界動向や書類・面接対策のような一般的な情報は参考にしつつ、「この求人は今しかない」「早めに決めたほうがいい」といった、決断を急がせるような話については、鵜呑みにせず一度自分の頭で考え直す、という姿勢を持っておくとよいと思います。聞いた話をすべて疑う必要はありませんが、聞く価値のある話と、一度立ち止まって考えたほうがいい話を自分の中で分けておくと、振り回されにくくなります。中立な立場の相手ではない、という前提を忘れずに付き合えば、エージェントは有効な情報源になります。
・業界動向や書類・面接対策など、専門知識に基づく話は参考になりやすい
・「今しかない」「早く決めるべき」といった決断を急がせる話は一度立ち止まって考える
・紹介成立で収益が生まれる仕組みであることを前提に付き合う
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相談する前に自分の中を整理しておく
誰に相談するかを考えると同時に大切なのが、相談する前に自分の考えを整理しておくことです。具体的には、今の仕事や会社に対する不満、次の環境に求めたい希望、譲れない条件の三つを、簡単にでもいいので紙やメモアプリに書き出してみてください。頭の中だけで考えていると同じところをぐるぐる回ってしまいますが、書き出すことで自分でも気づいていなかった優先順位が見えてくることがあります。
不満を書き出すときは、「上司と合わない」のような大まかな表現で終わらせず、具体的にどの場面で何が起きたのかまで掘り下げてみましょう。希望を書き出すときも、「もっとやりがいのある仕事」のような抽象的な言葉だけでなく、給与や働き方、業務内容といった具体的な項目に分けて考えると、あとから見返したときに整理しやすくなります。条件についても、「譲れないもの」と「できれば叶えたいもの」を分けておくと、相手からの意見を受け止めるときの軸がぶれにくくなります。
この整理ができていると、友人に話すときも「何にモヤモヤしているのか」を的確に伝えられますし、家族に話すときも「生活面でどこまで譲れるのか」を具体的に共有できます。エージェントに相談するときも、条件が明確なほど、的確な求人を紹介してもらいやすくなります。相談相手が変わっても、この事前整理はどの相談にも共通して効いてくる土台だと考えてください。逆に、この整理をせずに相談に臨んでしまうと、相手の意見に流されるだけの時間になってしまいやすいので、面倒に感じても最初に取り組んでおく価値はあります。
もし、自分の不満や希望をうまく言葉にできない、そもそも転職すべきかどうかの段階で迷っている、という場合は、転職すべきかどうかを整理するための診断を使って自己整理の材料にしてみるのも一つの方法です。誰かに相談する前に、自分の状況をある程度言語化しておくだけで、相談の実りは大きく変わってきます。
・今の仕事や会社に対する不満は何か
・次の環境に求めたい希望は何か
・生活面も含めて譲れない条件は何か
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相談しても、最後に決めるのは自分
ここまで相手ごとの特徴を整理してきましたが、最後に一つだけ大切にしてほしいことがあります。それは、相談はあくまで判断材料を増やすための行為であり、誰かに決めてもらうための行為ではない、ということです。友人の意見、家族の心配、先輩の実体験、エージェントの市場情報、そのどれもが参考にはなりますが、最終的にその情報をどう組み合わせて判断するかは、自分自身にしかできません。
複数の相手に相談していると、当然ながら意見が食い違う場面も出てきます。家族は安定を勧め、社外の先輩は挑戦を後押しし、エージェントはまた別の視点を示す、ということも珍しくありません。そうしたときに大切なのは、誰の意見が正しいかを決めることではなく、自分が最初に整理した不満や希望、条件に照らして、それぞれの意見がどう関係するのかを自分の頭で考え直すことです。意見が割れること自体は、判断材料が増えている証拠でもあります。
「誰かに決めてもらいたい」という気持ちで相談に臨むと、相手の言葉に振り回されやすくなり、あとから「あの人にああ言われたから」と後悔につながりやすいとも言われています。反対に、自分の中である程度の軸を持ったうえで相談すると、相手の意見を「参考にする材料」として受け止められるようになり、結果的に納得感のある決断がしやすくなります。相談は、決断を代わりにしてもらう場ではなく、決断の精度を上げるための場だと捉えておくとよいと思います。
なお、そもそも今の仕事が自分に向いていないのではないかという悩みが根っこにある場合は、相談相手を探す前に、その悩み自体を整理しておくと話がしやすくなります。向き不向きの悩みは、相手に話しても「向いてないなんてことはないよ」という励ましで終わってしまい、なかなか本人の中で消化されにくいものです。この点については仕事が向いていないかもと感じたときの記事で詳しく扱っていますので、あわせて参考にしてみてください。
どらすた
今の状況を整理したい方へ
あなたは今、転職すべき?キャリア診断
8つの質問に答えると、いまのあなたが「土台づくり期」「助走期」「跳躍準備期」「環境見直し期」のどれに近いかがわかります。結果に応じて、次に読むとよい記事もご案内します。登録は不要です。
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