今回はビジネス用語「インテグレーション」について解説していきます。
目次
インテグレーションとは?意味をわかりやすく解説

インテグレーションとは、ばらばらに存在している複数の要素を統合し、ひとつのまとまりとして機能させることをいいます。
もともと別々に動いていたシステムや組織、データを一体化させることで、全体としての一貫性を持たせるのが目的です。単に「合体させる」というよりも、統合したあとにきちんと機能する状態まで持っていく、というニュアンスが強い言葉です。
ビジネスの現場では、この言葉はいくつもの領域で使われます。もっとも頻出するのはIT分野で、社内の複数システムをつなぎ合わせる「システムインテグレーション」という文脈です。それ以外にも、M&A後の組織統合、部署をまたいだデータの一元化、複数部門の統合など、幅広い場面で登場します。
なぜわざわざ「統合」が必要になるのかというと、バラバラのまま運用していると、同じ情報を二重に入力したり、部署ごとに違うルールで判断してしまったりと、無駄や食い違いが生まれやすいからです。インテグレーションは、こうした非効率を解消し、組織やシステムをシームレスに連携させるための取り組みだと考えると理解しやすいでしょう。
なお、インテグレーションは「複数のものをただ隣り合わせに並べる」こととは違います。たとえば2つのシステムを同じサーバーに置いただけでは統合とはいえず、データの受け渡しや操作の流れがひとつながりになって、利用者が違いを意識せずに使える状態になって初めて「統合できた」といえます。この、まとめたあとの使い勝手まで含めて考える視点が、インテグレーションという言葉の理解では欠かせません。
語源(英語表記)
インテグレーションは英語の「integration」をそのままカタカナにした言葉です。動詞形の「integrate」には「統合する」「一体化させる」という意味があり、名詞の「integration」は「統合」「統合すること」と訳されます。日本語でも「統合」という訳語は存在しますが、IT業界やコンサルティング業界では、ニュアンスを保つためにあえて「インテグレーション」とカタカナのまま使う場面が多く、ビジネス用語として定着しています。会話の中では「システムをインテグレーションする」のように英語をそのまま動詞化して使われることも多いため、カタカナ語に慣れていない人ほど戸惑いやすい言葉のひとつです。
身近なインテグレーションの例
システムインテグレーション(SI)
社内に複数存在するシステムやソフトウェアをつなぎ合わせ、ひとつの仕組みとして動かせるようにすることです。企業のIT担当や、この業務を専門に請け負うベンダー企業(SIer)が主な担い手になります。
PMI(経営統合・M&A後のインテグレーション)
合併や買収のあと、異なる企業文化や業務プロセスをひとつの会社としてまとめていくプロセスです。Post Merger Integrationの略で「PMI」と呼ばれ、統合の成否がM&A全体の成果を左右するとされています。人事制度や評価基準のすり合わせなど、扱うテーマが多岐にわたるため、統合には数か月から数年単位の時間がかかることも珍しくありません。
データインテグレーション
営業部門の顧客データと、カスタマーサポート部門の対応履歴のように、部署ごとにバラバラに管理されているデータをひとつの基盤にまとめることです。分析や意思決定のスピードを上げる目的で行われます。近年は扱うデータの量そのものが増えているため、ビッグデータを前提とした統合基盤づくりも珍しくなくなってきました。
部門・組織のインテグレーション
別々に動いていた部署やチームを、ひとつの組織として再編することもインテグレーションと呼ばれます。営業部とマーケティング部を統合し、ひとつの部門にするようなケースが該当します。
アプリ・サービスのインテグレーション
身近な例では、スマートフォンの家計簿アプリが銀行口座やクレジットカードの情報を連携させて、ひとつの画面で管理できるようにする機能も、広い意味でのインテグレーションといえます。
業務ツール同士のインテグレーション(API連携)
チャットツールと勤怠管理ツール、あるいはカレンダーとタスク管理ツールをAPIでつなぎ、片方に入力した情報がもう片方にも反映される仕組みも、日常的に使われているインテグレーションのひとつです。連携がうまく設計されていないと、二重入力の手間が残ってしまい、ユーザビリティの低いツールになってしまいます。
ビジネスでの使い方
会議や報告の場では、次のような使われ方をします。
「今期中に、旧システムと新システムのインテグレーションを完了させたい」
「A社との統合はPMIのフェーズに入ったので、業務プロセスのすり合わせを進めている」
「顧客データのインテグレーションが終われば、部門をまたいだ分析ができるようになる」
このように、「インテグレーションする」「インテグレーションを進める」といった形で動詞的に使われることが多く、単なる合体ではなく、統合作業そのものを指す言葉として使われています。若手のうちは主語や対象を聞き逃すと話についていけなくなりやすいので、「何と何を、何のために統合しているのか」を意識して聞くと理解しやすくなります。
また、進捗報告の場面では「インテグレーションが完了した」だけでなく、「どのリソースを使って、いつまでに終える予定か」まで合わせて伝えるのが一般的です。統合作業は関係する部署が多く、期限や担当が曖昧なまま進むと後工程に影響が出やすいため、具体的な数字とセットで語られることが多い言葉でもあります。上司や先輩がこの言葉を使ったときは、単に「まとめる」というより「今どの段階まで進んでいて、次に何をする予定なのか」という状況を共有しようとしていることが多いので、そのつもりで聞くと会話についていきやすくなります。
統合がうまくいかない典型的な理由
インテグレーションは「まとめれば効率化する」と思われがちですが、実際の現場ではうまく進まないケースも少なくありません。代表的な原因を3つ紹介します。
現場の運用が違う
統合する側とされる側で、日々の業務の進め方やルールが異なっていることはよくあります。片方の運用に合わせようとすると、もう片方の現場から反発が出たり、実際の業務が回らなくなったりすることがあります。統合前に、両者の運用をきちんとすり合わせるフェーズを設けることが重要です。
データの持ち方が違う
同じ「顧客情報」でも、システムや部署によって項目の定義や入力形式が異なっていることは珍しくありません。この違いを整理しないままシステムを統合すると、データの不整合や欠落が起き、かえって業務が混乱する原因になります。
誰が決めるのか決まっていない
統合の方針や優先順位を最終的に誰が判断するのか、ステークホルダーの役割が曖昧なまま進めてしまうケースです。決定権が分散していると、細かい調整のたびに議論が止まり、統合作業全体が長期化してしまいます。統合を始める前に、責任者と決定のスキームを明確にしておくことが、遠回りのようで一番の近道になります。
これら3つの要因は、それぞれ単独で起きるというより、絡み合って統合作業を遅らせることが多いのが実情です。運用の違いを整理しないままシステムをつなぐとディフェクト(不具合)が発生しやすくなり、その対応に追われているうちに、決めるべきことを誰も決められないまま時間だけが過ぎてしまう、というケースも珍しくありません。統合を始める前の準備段階に、想像している以上の時間をかける価値があるといえます。
労務や契約面に関わる統合を進める場合は、社内規定や専門家への確認を忘れないようにしましょう。
会話例文
類語との違い
マイグレーションとの違い
マイグレーション(migration)は「移行」を意味し、古いシステムやデータを新しい環境に移し替えることを指します。インテグレーションが「複数のものをひとつにまとめる」ことに重点があるのに対し、マイグレーションは「場所や環境を移す」ことに重点がある点が異なります。「旧システムのデータを新システムにマイグレーションしたうえで、他部署のシステムとインテグレーションする」のように、統合作業の一工程としてマイグレーションが発生することもあります。
ソリューションとの違い
ソリューション(solution)は課題を解決するための手段や方法全般を指す言葉です。インテグレーションは「統合すること」という状態や行為そのものを指すのに対し、ソリューションはその統合を実現するための製品やサービス、手法を指すという違いがあります。「統合ソリューションを導入して、複数システムのインテグレーションを進める」のように、組み合わせて使われることもあります。
アライアンスとの違い
アライアンスは企業同士が対等な立場で提携し、それぞれの独立性を保ったまま協力関係を築くことを指します。一方でインテグレーションは、組織やシステムをひとつにまとめてしまう点で踏み込み方が異なります。まずアライアンスで協力関係を試し、うまくいけば経営統合というインテグレーションに進む、という段階を踏むケースもあります。提携にとどめるか、統合まで進めるかは、目的や関係性によって選択される点です。
関連用語
インテグレーションとあわせて理解しておくと、ビジネスやITの用語が整理しやすくなる用語です。
ほかのビジネス用語はビジネス用語集一覧から探せます。
まとめ
インテグレーションとは、バラバラに存在している複数の要素を統合し、ひとつのまとまりとして機能させることを指す言葉です。ITの現場で使われるシステムインテグレーションだけでなく、M&A後のPMI、データの一元化、部門の再編など、幅広い場面で登場します。
統合はまとめること自体が目的ではなく、まとめたあとにきちんと機能する状態を作ることが本来のゴールです。現場の運用やデータの持ち方の違い、決定権の所在があいまいなまま進めてしまうと、かえって業務が混乱する原因になりかねません。
会議や報告の中で「インテグレーション」という言葉が出てきたら、何と何を、どんな目的で統合しようとしているのかを意識して聞くと、話の全体像がつかみやすくなります。マイグレーションやソリューション、アライアンスといった似た言葉との違いも押さえておくと、ビジネスの場での言葉の使い分けに迷わなくなるはずです。
インテグレーションは、IT部門やM&A担当者だけの言葉ではありません。ツールの連携や部署の再編など、若手のうちから関わる機会がある身近なテーマでもあります。少しずつで構わないので、自分の仕事に関係する場面から整理していきましょう。
どらすたブログ 
