コングロマリットとは?意味と複合企業の仕組みを解説

コングロマリットとは?意味と使い方を解説

今回はビジネス用語解説テーマ「コングロマリット」についてです。

新入社員くん
新入社員くん
社内会議で”我が社もコングロマリットとして成長させていきたい”って部長が言ってたんだけど、正直あんまりピンと来てないんだよね…
今回はビジネス用語でよく使われる”コングロマリット”について、メリットとデメリットの両方から解説していくよ
クマ先生
クマ先生

コングロマリットとは?意味をわかりやすく解説

コングロマリットとは、互いに関連の薄い複数の事業をひとつの企業グループの傘下に持つ「複合企業」のことです。

たとえば、もともと製造業だった会社が金融事業や不動産事業にも進出し、業種の異なる複数の事業を並行して手がけているようなケースを指します。単一の事業だけを深掘りしていく企業とは対照的な形といえるでしょう。

コングロマリットは、自社で新規事業をゼロから立ち上げるというより、他業種の会社をM&A(合併・買収)で取り込みながら事業領域を広げていくケースが多いのも特徴です。もとの事業とは技術も市場も異なる会社をグループに加えることで、短期間で新しい収益の柱を持てるようになります。

ここで大事なのは、コングロマリットという言葉自体には「良い」「悪い」の評価が含まれていない、ということです。単に「異業種にまたがる事業構成を持つ企業グループ」という状態を指す言葉であり、実際にうまく機能するかどうかは会社ごとの経営のあり方次第です。この記事の後半で触れるメリットとデメリットは、あくまで一般論としての傾向として読んでもらえればと思います。

なお、似たような場面でシナジーという言葉が使われることもあります。複数の事業を持つ狙いのひとつが、事業同士が影響し合って生まれる相乗効果(シナジー)だからです。ただし後述する通り、実際にはこのシナジーがなかなか発揮されないケースも少なくありません。

語源(Conglomerate)

コングロマリットは英語の「conglomerate」がそのままカタカナ表記になった言葉です。もとをたどるとラテン語の「conglomerare(集めて丸める)」に由来し、地質学では性質の異なる石や砂の粒が固まってできた岩石「礫岩(れきがん)」を意味します。

丸みを帯びたさまざまな種類の石が、ひとつの塊としてくっついている礫岩の姿が、業種の異なる複数の事業がひとつの企業グループにまとまっている様子と重なることから、経営の分野でも「コングロマリット」という言葉が使われるようになりました。日本のビジネス書やニュース記事でもそのままカタカナで使われることが多く、無理に和訳せず「コングロマリット」の形で定着している言葉です。文献によっては「複合企業」「多角経営企業」と訳されることもあります。

身近なコングロマリットの例

具体的な社名を挙げると評価の話になってしまうので、ここでは業種の組み合わせのパターンとして整理してみます。

製造業から金融・保険への展開
家電や機械などのメーカーが、自社製品の販売で培った信用力や顧客基盤を活かして、金融サービスや保険事業を手がけるようになるケースです。本業とはまったく異なる収益源を持てるのが特徴です。

総合商社による多業種展開
資源、食品、繊維、情報通信など、もともと幅広い業種を横断的に扱ってきた総合商社は、コングロマリットの代表的な形のひとつとしてよく紹介されます。

IT・通信企業による異業種進出
通信やITサービスを軸にしていた企業が、決済事業やエンターテインメント事業、金融事業などに参入し、事業ポートフォリオを広げていくケースも増えています。

素材メーカーの医薬品・化学品展開
化学素材を扱っていた企業が、そこで培った研究開発力を活かして医薬品や化粧品原料などの分野に進出するパターンもあります。

鉄道・不動産・小売を束ねるグループ
鉄道会社が沿線の不動産開発や小売、ホテル事業などを一体で運営している例も、広い意味でのコングロマリット的な事業構成といえます。

ビジネスでの使い方

会議や経営に関する記事の中では、次のような形で使われます。

「中期経営計画で、既存事業に加えて新規事業を取り込みながらコングロマリット化を進める方針を打ち出した」
「あの企業グループは典型的なコングロマリットで、祖業とは全く違う業界にも子会社を持っている」
「複数の事業を抱えるコングロマリットだからこそ、一部の事業が落ち込んでも全体としては業績を維持できている」

一方で、投資家やアナリストの間では「コングロマリット・ディスカウント」という言葉もよく使われます。これは、複数の事業を抱える企業の株式市場での評価が、各事業を単独の会社として評価した場合の合計よりも低くなる現象を指す言葉です。経営の複雑さが敬遠されたり、ステークホルダーである投資家から見て「結局どの事業に強みがある会社なのか分かりにくい」と受け止められたりすることが背景にあるとされています。

コングロマリットのメリットとデメリット

コングロマリットには、良い面と注意すべき面の両方があります。両論として整理しておきます。

まずメリットとして挙げられるのが、リスク分散です。ひとつの事業の景気が悪化しても、他の事業が業績を支えてくれるため、グループ全体としては経営が大きく揺らぎにくくなります。また、資金力や人材、営業網といったグループ内の経営資源を事業間で融通し合えることも強みです。ある事業で得た資金や知見を、成長期にある別の事業に振り向けるといった動きがしやすくなります。

一方でデメリットとしてよく指摘されるのが、経営陣の目が全事業に行き届きにくくなるという点です。事業ごとに市場環境も競合も異なるため、本社が細部まで把握して意思決定するのが難しくなりがちです。また、期待されるほど事業間のシナジーが生まれないケースも珍しくありません。畑違いの事業同士では、技術やノウハウ、顧客基盤をうまく共有できないこともあります。

さらに、先ほど触れたコングロマリット・ディスカウントのように、事業構成が複雑になることでディスクロージャー(情報開示)が難しくなり、投資家からの評価が伸びにくいという課題もあります。どの事業がどれだけ稼いでいるのかが外部から見えにくくなること自体が、評価を下げる一因になっているという見方です。

こうした背景もあり、近年は多角化を進める一方で、本業との関連性が薄い事業を切り離す「選択と集中」に舵を切る企業グループも見られます。事業を切り離す際には、他社とのアライアンス(提携)に切り替えて緩やかな協力関係を続けるという選択肢を取る企業もあり、事業を「持つ」か「手放して連携する」かは、経営環境によって判断が分かれるところです。事業を増やすことと同じくらい、どの事業を残すかという経営のストラテジーが問われる時代になっているといえるでしょう。

就職・転職でコングロマリットを見るときの視点

就職や転職で、複数の事業を抱える企業グループを候補として見るときは、いくつか意識しておきたい視点があります。

まず大切なのは、会社名やグループ全体の知名度と、自分が実際に関わることになる仕事は別物だという点です。有名なグループ企業であっても、配属される事業によって仕事内容も職場の雰囲気もまったく異なります。応募や面接の段階で「グループのどの事業を担っている部署なのか」「その事業は成長フェーズなのか安定フェーズなのか」を具体的に確認しておくと、入社後のイメージのずれを減らせます。

次に、事業間の異動があるかどうかも見ておきたいポイントです。コングロマリット型の企業では、事業ごとに求められるスキルや専門性が大きく異なるため、異動の範囲が同じ事業内にとどまる会社もあれば、グループ内でジョブローテーションを積極的に行う会社もあります。将来どんな経験を積んでいきたいかによって、どちらが自分に合っているかは変わってきます。配属や異動の運用ルールは会社ごとに差が大きいので、不明な点は選考の場で確認したり、入社後は就業規則で確かめたりしておくと安心です。

また、複数の事業を持つ企業グループでは、部署ごとに求められるコア・コンピタンス(中核となる強み)が異なることも珍しくありません。同じ会社の中でも、事業によって評価される力や求められる経験値が違うことがある、という前提を持っておくと、入社後のキャリア形成も考えやすくなります。転職を検討する際は、目先の社名の大きさだけで判断せず、自分が携わる事業の中身まで含めて比較することが大切です。転職そのものの向き合い方については転職のメリットとデメリットを実体験から解説の記事もあわせて参考にしてみてください。

会話例文

新入社員くん
新入社員くん
コングロマリットって、要するに色んな事業をやってる会社ってことなんだね
そうだね。しかも単に事業が多いだけじゃなくて、業種が大きく違う事業を抱えているのがポイントだよ
クマ先生
クマ先生
新入社員くん
新入社員くん
事業がいろいろあると、それだけ安定しそうなイメージがあるよ
リスク分散になるのは確かなメリットだね。ただ、事業が増える分だけ経営の舵取りは難しくなるという面もあるんだ
クマ先生
クマ先生
新入社員くん
新入社員くん
デメリットもあるんだね。投資家からの評価が下がることもあるって聞いたよ
うん、コングロマリット・ディスカウントって呼ばれる現象だね。事業が複雑だと、外から強みが見えにくくなってしまうんだ
クマ先生
クマ先生
新入社員くん
新入社員くん
就職や転職でコングロマリットの会社を見るときは、何に気をつければいいのかな
会社名の大きさじゃなくて、自分がどの事業に配属されるのか、事業間の異動があるのかまで見ておくといいよ
クマ先生
クマ先生
新入社員くん
新入社員くん
なるほど、社名で判断せずに中身までちゃんと確認するのが大事なんだね
そのとおり。メリットとデメリット、両方を理解した上で使いこなせると、ビジネスの解像度がぐっと上がると思うよ
クマ先生
クマ先生

類語との違い

グループ企業との違い
グループ企業は、資本関係でつながる会社の集まりを指す包括的な言葉で、同業種の会社だけで構成されるグループも含まれます。コングロマリットはその中でも、特に業種が大きく異なる事業を組み合わせている点が強調される言葉です。

ホールディングスとの違い
ホールディングスは、複数の子会社の株式を保有して統括する「持株会社」という組織の形態を指す言葉です。コングロマリットは組織形態ではなく「事業構成の特徴」を表す言葉なので、ホールディングス体制を取っていても、事業内容が近ければコングロマリットとは呼ばれないこともあります。

M&Aとの違い
M&Aは合併・買収という「手段」そのものを指す言葉です。コングロマリットは、そうしたM&Aを積み重ねた結果として生まれる「企業の姿」を指すことが多く、手段と結果という関係で捉えると整理しやすくなります。

関連用語

コングロマリットとあわせて理解しておくと、企業の事業戦略や評価の考え方が整理しやすくなる用語です。

ほかのビジネス用語はビジネス用語集一覧から探せます。

まとめ

コングロマリットとは、互いに関連の薄い複数の事業をひとつの企業グループの傘下に持つ複合企業のことで、多くの場合M&Aを重ねながら事業領域を広げていきます。リスク分散や経営資源の融通といったメリットがある一方で、経営の目が行き届きにくくなることや、シナジーが発揮されにくいこと、投資家から評価されにくくなるコングロマリット・ディスカウントといったデメリットも指摘されています。

近年は、事業を広げる一方で本業との関連性が薄い事業を切り離す「選択と集中」の動きも見られ、コングロマリットという企業の形自体が常に絶対的な正解というわけではないことがうかがえます。多角化と選択と集中は、どちらか一方が常に正しいというものではなく、その時々の経営環境や事業の成熟度に応じて使い分けられている、と捉えておくとニュースの読み方も変わってきます。ニュースや会議で「コングロマリット」という言葉が出てきたときは、単に事業が多いという表面的な話ではなく、その裏にあるメリットとデメリットの両方を思い出せると理解が深まります。

就職や転職の場面でこの言葉に触れたときは、会社全体の規模や知名度だけで判断せず、自分が実際に関わることになる事業や、事業間の異動の有無まで含めて見ておくと、入社後のギャップを減らすことにつながります。

言葉の意味を正しく押さえておくことは、企業研究や日々の業務の中で情報を読み解く力にもつながっていきます。この記事が、コングロマリットという言葉を理解するきっかけになれば嬉しいです。

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