今回はビジネス用語解説テーマ「ディスクロージャー」についてです。
目次
ディスクロージャーとは?意味をわかりやすく解説

ディスクロージャーとは、企業が経営状況や財務状況などの情報を、投資家や取引先といった社外の関係者に向けて開示することを指す言葉です。
もともとは英語の「disclosure」がそのままビジネス用語として定着したもので、日本語では「企業情報の開示」と訳されることが多くあります。
単に情報を公表するだけでなく、経営の透明性を示す行為としての意味合いを持つ点も特徴です。
自社の状況を包み隠さず伝える姿勢は、投資家や取引先からの信頼につながる要素のひとつとされています。
語源|disclosure・discloseとの関係
ディスクロージャーの語源は、英語の動詞「disclose(開示する、明らかにする)」です。「dis」は否定や分離を表す接頭辞、「close(閉じる)」と組み合わさることで、「閉じていたものを開く」というニュアンスが生まれます。
「disclosure」はこの「disclose」の名詞形にあたり、日本語のビジネスシーンでは「開示すること」そのものを指す名詞として使われるのが一般的です。動詞的に使いたい場合は「ディスクロージャーする」という形で用いられることもあります。
もともとは金融や会計の分野で使われることが多かった言葉ですが、現在では経営全般の透明性を語る際にも広く用いられるようになっており、決算資料や採用ページ、社内報など、さまざまな場面で目にする機会が増えています。
何を開示するのか
ディスクロージャーの対象となる情報は、大きく分けると財務情報と非財務情報の二種類があります。
財務情報には、決算に関する数値や事業ごとの業績、資産や負債の状況などが含まれます。企業の稼ぐ力や財務の健全性を判断する材料として扱われることが多い情報です。四半期ごとや年度ごとにまとめて公表されることが一般的で、時期によって開示される内容の粒度も変わってきます。
非財務情報には、経営方針や事業戦略、リスクに関する説明、ガバナンス体制、サスティナビリティへの取り組みなどが該当します。近年は財務情報だけでなく、こうした非財務情報も投資判断や取引先選定の材料として重視される傾向にあります。数値では表れにくい経営の姿勢や将来の方向性を伝える役割も担っています。
開示のあり方には、法令に基づいて求められる開示と、企業が自主的に行う開示の二つの側面があります。前者は制度として一定の情報公開が求められるもの、後者は企業がより丁寧な説明や信頼構築を目的として自発的に行うものと整理できます。決まった時期にまとめて開示する形と、重要な出来事が生じた際に随時開示する形があるといったイメージを持っておくと理解しやすくなります。どちらに該当する開示なのかは会社や状況によって異なるため、具体的な範囲や基準については社内の担当部署やコンプライアンス関連の資料で確認するのが確実です。
また、開示する相手も一様ではありません。投資家に向けたものもあれば、取引先や顧客、時には従業員に向けて社内で共有される情報もあります。誰に向けた開示なのかによって、伝える内容の詳しさや表現の仕方も変わってきます。
こうした開示のルールはコンプライアンスの考え方とも深く結びついており、開示先となるステークホルダーとの関係性を維持するうえでも欠かせない取り組みといえます。
若手が知っておくと役立つ場面
ディスクロージャーという言葉は、決算や経理の担当者だけに関係するものではありません。転職や就職を考える際の企業研究でも、開示されている情報は有力な手がかりになります。
企業が公表しているIR情報には、決算に関する資料や事業説明の資料などが含まれています。こうした資料に目を通しておくと、会社説明会や面接だけでは見えにくい事業の実態や、経営陣がどのような方針を打ち出しているのかを把握しやすくなります。
決算資料を読む際は、数値そのものだけでなく、売上や利益の推移がどう変化しているか、どの事業が伸びているか、経営陣のコメントで何が課題として挙げられているかといった点に目を向けると、会社の状況を立体的に理解しやすくなります。最初から細部まで読み込む必要はなく、まずは概要をつかむところから始めるとよいでしょう。
企業を比較検討する際のリサーチのひとつとして、公開されている開示情報に目を通す習慣をつけておくと、志望動機や自己分析にも厚みが出てきます。焦って結論を急ぐ必要はなく、気になった会社の情報を少しずつ確認していく程度で十分です。
面接の場でも、開示されている情報をもとに質問を組み立てると、企業研究の深さが伝わりやすくなります。たとえば「事業説明の資料で触れられていた新しい取り組みについて、もう少し詳しく伺いたいです」といった形で話を広げると、単なる会社案内の内容をなぞるだけの質問よりも、踏み込んだやり取りにつながりやすくなります。
入社後も、自社や取引先の開示情報を確認する機会は少なくありません。異動や担当が変わった際に、関わる企業の全体像をつかむ手段として開示情報を読む習慣があると、業務の理解にも役立ちます。
情報を扱う側の注意点
自分が開示する側、あるいは開示に関わる立場になったときは、情報の取り扱いにも注意が必要です。決算内容や新しい事業計画など、正式に公表される前の情報は社外秘として扱われるのが一般的で、公表のタイミングより前に外部へ伝わってしまうと、会社にとって思わぬ影響を及ぼす可能性があります。
若手のうちは自分から情報を開示する立場になることは少ないかもしれませんが、上司や関連部署から共有された未公表の情報に触れる機会は意外と早い段階からあります。その情報がいつ、どのような形で公表される予定なのかを把握しておくだけでも、うっかりした発言や共有を避けやすくなります。
どこまでが社外秘にあたるのか、どのタイミングで開示してよい情報になるのかという線引きは、会社ごとのルールや案件の性質によって異なります。判断に迷う場合は自己判断で進めず、上司や関連部署に確認する姿勢が大切です。
また、開示する情報には根拠となるエビデンスが伴っていることが前提とされます。裏付けのない情報を発信してしまうと、かえって信頼を損なう結果になりかねないため、社内で共有する情報についても出どころや正確性を意識しておくと安心です。
社内会議やチャットツールで交わされる情報の中にも、将来的に開示対象となりうるものが含まれていることがあります。何気ない会話のつもりでも、内容によっては慎重な扱いが求められる場合があるため、業務に関わる情報を扱う際は、公表済みの内容なのか、まだ社内限りの内容なのかを意識しておくとよいでしょう。判断がつかないときは、周囲に相談してから共有範囲を決める進め方が無難です。
会話例文
例文1|取引先との会話
例文2|社内での会話
例文3|就職活動中の学生同士の会話
例文4|上司と部下の会話
例文5|経営層の会話
類語との違い
ディスクロージャーと似た場面で使われる言葉との違いを整理しておくと、意味の使い分けがしやすくなります。
「情報開示」は、ディスクロージャーとほぼ同じ意味で使われる日本語表現です。カタカナ語であるディスクロージャーの方が金融や決算の文脈で使われやすい一方、「情報開示」はより広い場面で使われる傾向があります。社内文書や一般向けの説明では「情報開示」、投資家向けの資料や専門的な文脈では「ディスクロージャー」というように、使われる場面に応じて言葉が使い分けられていることも多いです。
「IR(インベスター・リレーションズ)」は、投資家との関係構築全般を指す活動で、ディスクロージャーはそのIR活動の中に含まれる一部分と位置づけられます。IRには開示だけでなく、説明会の開催や問い合わせへの対応なども含まれます。
「公開」は、情報を外部から見られる状態にすることを広く指す言葉です。ディスクロージャーが企業の経営や財務に関する情報を体系的に開示するニュアンスを持つのに対し、「公開」はより一般的で幅広い場面に使える表現といえます。イベントの日程を公開する、新商品の情報を公開する、といった使い方には「ディスクロージャー」よりも「公開」の方がなじみやすい印象です。
「トランスペアレンシー(透明性)」は、企業の姿勢や状態そのものを表す概念です。ディスクロージャーはその透明性を実現するための具体的な行動、トランスペアレンシーはそれによって達成される状態、という関係で捉えると整理しやすくなります。
このように、それぞれの言葉は近い場面で使われながらも、指している範囲や視点が微妙に異なります。会話の中でどの言葉が使われているかによって、話し手が「行動」の話をしているのか、「活動全体」の話をしているのか、「状態や姿勢」の話をしているのかを意識すると、意味を取り違えにくくなります。
関連用語
- アカウンタビリティー|開示した情報について説明責任を果たすことを指し、ディスクロージャーとセットで語られることが多い用語です。
- コンプライアンス|法令や社内ルールを守る姿勢のことで、開示のあり方にも関わる考え方です。
- ステークホルダー|投資家や取引先など、企業を取り巻く利害関係者全般を指します。
- エビデンス|開示する情報の裏付けとなる根拠のことです。
- サスティナビリティ|非財務情報の開示で扱われることが増えている、持続可能性に関する取り組みです。
ほかのビジネス用語はビジネス用語集一覧から探せます。
まとめ
ディスクロージャーとは、企業が経営状況や財務状況などの情報を社外に開示することを指すビジネス用語です。財務情報と非財務情報の両方が対象となり、法令に基づく開示と自主的な開示という二つの側面があります。
若手のうちは開示する側というより、企業研究や志望企業の理解のために開示情報を読む機会の方が多いかもしれません。IR情報や決算資料に目を通す習慣は、企業への理解を深めるうえで役立ちます。一方で、社会人として情報を扱う立場になった際は、公表前の情報の取り扱いについて社内ルールを確認しながら慎重に対応する姿勢も求められます。
言葉の意味だけでなく、情報開示やIR、トランスペアレンシーといった関連する言葉との違いも押さえておくと、ビジネスの場でディスクロージャーという言葉が出てきたときに、より正確に意味をつかめるようになるはずです。
最初のうちは「企業が情報を開示すること」という基本の意味さえ押さえておけば、会話の中で戸惑うことは少なくなります。そこから少しずつ、財務情報と非財務情報の違いや、義務的な開示と自主的な開示の違いといった細かなニュアンスを理解していくと、ディスクロージャーという言葉が持つ幅広さも見えてくるはずです。企業研究や日々の業務の中で開示情報に触れる機会があれば、この記事で整理した視点を手がかりに、内容を読み解いてみてください。
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