今回はビジネス用語解説テーマ「リテラシー」についてです。
目次
リテラシーとは?意味をわかりやすく解説
リテラシーとは、ある分野の情報を正しく理解し、状況に応じて適切に判断し活用できる能力のことをいいます。

単に知識として知っているだけでなく、その情報が正しいかどうかを見極め、実際の場面で使いこなせるかどうかがポイントです。たとえば同じニュースを目にしても、リテラシーが高い人は発信元や根拠を確認したうえで判断しますが、リテラシーが十分でないと、見出しだけを見て内容を鵜呑みにしてしまうことがあります。現在のネット社会では、スマホ1台でたくさんの情報を簡単に得られる一方で、真偽の定かでない情報も少なからず混じっています。そうした情報を鵜呑みにせず、自分の頭で判断できる力を日々磨いていくことが大切です。ビジネスの場面では、取引先から届いた資料の数字をそのまま使うのではなく、出典や前提条件まで確認したうえで報告する、といった行動もリテラシーの表れの一つです。
「リテラシー(literacy)」はもともと英語で「読み書きの能力」を意味する言葉です。ラテン語の「littera(文字)」を語源とし、形容詞形の「リテレイト(literate)」は「読み書きができる」「教養がある」といった意味で使われます。日本語でも当初は識字率など、文字どおり読み書きの文脈で使われていましたが、20世紀後半にコンピューターが普及すると「コンピューターリテラシー」という言葉が生まれ、そこから意味が広がっていきました。現在では「特定の分野の情報を理解し、使いこなす能力」全般を指す言葉として定着しています。
分野別に見るリテラシーの意味
ビジネスの現場では、リテラシーという言葉はさまざまな分野の前につけて使われます。分野によって具体的に指す内容が異なるため、それぞれどのような状態を指すのか見ていきましょう。どの分野のリテラシーも、共通しているのは「情報を鵜呑みにせず、根拠を確認したうえで判断し、実際の行動につなげられるかどうか」という視点です。
ITリテラシー
ITリテラシーとは、パソコンやスマートフォン、業務システムなどの情報技術を、目的に応じて使いこなせる能力のことです。具体的には、必要なソフトやツールを自分で選んで操作できる、トラブルが起きたときに原因をある程度切り分けて対応できる、社内システムのルールやセキュリティ設定を理解したうえで運用できる、といった状態を指します。反対に、指示された操作をそのままなぞることしかできず、少し画面が変わっただけで対応できなくなってしまう状態は、ITリテラシーが十分でないと表現されることがあります。テレワークの普及にともなって、オンライン会議ツールやチャットツール、クラウド上での資料共有など、業務で使うITツールの種類は年々増えており、ITリテラシーが求められる場面はこれまで以上に広がっています。
情報リテラシー・メディアリテラシー
情報リテラシーとは、必要な情報を自分で探し出し、内容の信頼性を見極めたうえで活用する能力のことです。メディアリテラシーはそのなかでも、新聞やテレビ、SNSなどのメディアが発信する情報を、発信元や意図まで含めて読み解く力を指します。具体的には、ニュースの出どころを確認する、複数の情報源を比較する、感情的な見出しに流されず内容を吟味する、といった行動ができる状態です。SNSでは個人が自由に情報を発信できる分、根拠のあいまいな投稿が拡散されやすいため、情報リテラシーとメディアリテラシーの両方が求められる場面が増えています。とくに拡散のスピードが速いSNSでは、一度誤った情報を広めてしまうと訂正が追いつかないこともあるため、シェアやリツイートをする前に一呼吸おいて確認する習慣も、メディアリテラシーの一部といえます。
金融リテラシー
金融リテラシーとは、お金に関する知識をもとに、家計管理や資産形成、保険や税金の仕組みを理解して判断できる能力のことです。収支を把握して予算を立てられる、金融商品のメリットとリスクを比較して選べる、契約内容を理解したうえで契約できる、といった状態が金融リテラシーのある状態といえます。逆に、商品の仕組みを理解しないまま契約してしまったり、リスクの説明を確認せずに投資判断をしてしまったりする状態は、金融リテラシーが不足していると言われることがあります。近年は資産形成の選択肢が広がっている一方で、制度や商品の仕組みは複雑になりがちなので、わからないまま契約を進めるのではなく、必要に応じて調べたり専門家に相談したりする姿勢も、金融リテラシーを支える行動の一つです。
ビジネスリテラシー
ビジネスリテラシーとは、業務全般の基礎知識やビジネスマナー、考え方の枠組みを理解し、実務で使いこなせる能力のことです。業界の商習慣や基本的な会計の考え方を理解している、報連相(報告・連絡・相談)を状況に応じて適切に行える、資料やメールを目的や相手に合わせて的確に作成できる、といった状態を指します。新入社員研修などで「ビジネスリテラシーを身につける」という目標が掲げられることが多く、社会人としての基礎力に近いニュアンスで使われます。会議での発言の仕方や、上司・取引先への言葉づかい、スケジュール管理のしかたなど、業務を円滑に進めるための土台となる振る舞い全般が含まれると考えると理解しやすくなります。
ビジネスでの使い方
ビジネスシーンでリテラシーという言葉は、主に人の能力を評価したり、教育や研修の目的を説明したりする際に使われます。「〇〇リテラシーを高める」「〇〇リテラシーが求められる」といった形で使われることが多く、単独で「リテラシー」とだけ使う場合は、文脈から情報リテラシーやビジネスリテラシーを指していることが一般的です。
社内研修の案内文や求人票の応募要件、業務マニュアルなど、フォーマルな文書でもよく登場する言葉です。たとえば求人票に「基本的なPCリテラシーがあること」と書かれていれば、特定のソフトを使いこなせるレベルまでは求めていなくても、基本的な操作や一般的なビジネスツールの扱いに困らない程度の力を期待している、という意味合いで使われています。こうした文脈の違いを踏まえて読み解くと、求められている能力のレベル感をつかみやすくなります。企業によっては「情報リテラシー研修」「金融リテラシー講座」のように、対象分野を明示した研修プログラムを用意していることもあり、この場合の「リテラシー」は身につけるべきスキルセットの総称として使われています。自己PRや面接の場面で「〇〇リテラシーがあります」と伝える際は、抽象的な言葉で終わらせず、実際にどのような場面でその力を発揮したのかを具体的なエピソードとあわせて説明すると、説得力が増します。
会話例文
実際の会話でどのように使われるか、例文で確認してみましょう。分野を明示して使われることが多いので、どの能力を指しているのかを意識しながら読んでみてください。
・新入社員には、まず基本的なITリテラシーを身につけてもらう研修を用意しています。
・このニュース、ソースが不明だから鵜呑みにしないほうがいいよ。メディアリテラシーが試される場面だね。
・彼は金融リテラシーが高くて、資産運用の相談をするといつも的確なアドバイスをくれる。
・会議の資料をもう少し簡潔にまとめられると、ビジネスリテラシーの高さが伝わると思うよ。
・情報リテラシーを高めるために、社内でニュースの読み解き方を学ぶ勉強会を定期的に開いています。
類語との違い
リテラシーと似た言葉に「知識」「スキル」「教養」がありますが、それぞれニュアンスが異なります。
知識は、単に情報を知っている状態を指す言葉です。一方リテラシーは、知っているだけでなく、その情報を状況に応じて理解し、判断し、活用できるところまでを含む点が異なります。たとえば「金融の知識がある」は制度や仕組みを知っていることを指しますが、「金融リテラシーがある」はそれをふまえて実際に家計管理や資産形成の判断ができることまでを含みます。
スキルは、特定の作業を実行できる技能を指す言葉です。「表計算ソフトを操作するスキル」のように、比較的具体的で切り出しやすい能力を指すことが多く、リテラシーはそれよりも範囲が広く、判断力や理解力といった思考の土台まで含むニュアンスがあります。
教養は、幅広い分野についての知識や理解の深さを指し、実務での活用を前提としない場合もあります。リテラシーは「活用できるかどうか」に重きが置かれる点で、教養とは少し性質が異なる言葉です。整理すると、知識は「知っていること」、スキルは「できること」、教養は「幅広く理解していること」、そしてリテラシーはこれらを踏まえたうえで「状況に応じて正しく判断し、活用できること」と位置づけると、それぞれの違いをイメージしやすくなります。
関連用語
リテラシーと合わせて理解しておくと、意味の違いを整理しやすくなる用語を紹介します。
- コンテクスト:情報の背景や文脈を指す言葉で、リテラシーが高い人ほどコンテクストまで踏まえて情報を読み解けます。
- コモンセンス:社会で共有されている常識のことで、リテラシーと合わせて語られることが多い言葉です。
- バイアス:判断をゆがめる偏りのことで、リテラシーが低いとバイアスに気づきにくくなります。
- ナレッジ:組織内で蓄積された知識や知見のことで、リテラシーの土台になる情報の一つです。
- アカウンタビリティー:結果や判断について説明する責任のことで、情報リテラシーと合わせて意識される場面があります。
ほかのビジネス用語はビジネス用語集一覧から探せます。
使うときの注意点
「リテラシーが低い」という言い方は、相手の理解力や判断力を否定するニュアンスを含みやすく、使い方によっては見下しているように受け取られることがあります。悪気なく使ったつもりでも、言われた側は自分の能力全体を否定されたように感じてしまうことがあるため、注意が必要です。指摘したいことがある場合は、「リテラシーが低い」と評価する言葉を使うのではなく、「〇〇について確認しておくと安心です」のように、具体的に何を補えばよいかを伝えるほうが、相手にも伝わりやすく角も立ちません。
また、リテラシーという言葉自体が抽象的なので、「ITリテラシー」「金融リテラシー」のように分野を明示して使うと、相手に意図が伝わりやすくなります。誰しも得意な分野と不慣れな分野があるので、一部の分野を見て「あの人はリテラシーがない」と一括りに評価するのではなく、どの分野について話しているのかを具体的にすることを意識しましょう。
自分自身のリテラシーについても、一度身につけたら終わりというわけではありません。ITツールや金融商品、メディアの発信手段は年々変化していくため、定期的に情報をアップデートし、これまでの理解を見直す姿勢を持ち続けることが、リテラシーを維持していくうえで欠かせません。
まとめ
リテラシーとは、ある分野の情報を正しく理解し、状況に応じて判断し活用できる能力のことです。ITリテラシーや情報リテラシー、金融リテラシー、ビジネスリテラシーなど、分野によって具体的に指す内容は異なりますが、共通しているのは「知っている」だけでなく「使いこなせる」状態を指すという点です。ビジネスの現場では研修や採用の場面でよく使われる言葉なので、意味と使い方を押さえておくと、日々のコミュニケーションの精度を高めることにつながります。自分の担当する業務や業界に関連するリテラシーがどこまで身についているかを振り返り、不足している部分があれば少しずつ補っていくことが、無理なくリテラシーを高めていくコツです。一方で、相手を評価する言葉として使う際は、見下すニュアンスにならないよう、具体的な分野や状況を添えて伝えることを心がけましょう。冒頭の会話のように、上司から「リテラシーがあるね」と言われたときは、単に物知りだと褒められているのではなく、情報を正しく理解し、状況に応じて活用できていることを評価されている、と捉えるとよいでしょう。
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