悩める会社員
どらすた
この記事では、嫌いな上司と同じ職場で働き続けるときに、消耗を減らす順番を扱います。詰められる場面そのものの切り抜け方、孤立、会社に行きたくない気持ち、辞めたい気持ちの整理は、それぞれ別の記事で詳しく書いているので、必要なところでリンクします。以下に出てくる会話や状況は、説明のための例です。自分の職場に置き換えて読んでください。
目次
まず、自分がどれくらい消耗しているかを測る
上司への対処法を考える前に、確認しておきたいことがあります。それは、今の自分がどれくらい消耗しているかです。消耗が大きいときは、工夫で乗り切ろうとするよりも、早めに相談や環境の変更を考えたほうが安全だからです。
「気合が足りない」「自分が弱いだけ」と考える必要はありません。次の項目は、状態を知るための目安です。診断ではありません。
- 朝、上司の顔が浮かんで、起きるのがつらい日が続いている
- 休日になっても、上司の言葉を思い出して気持ちが休まらない
- 日曜の夜になると、気分が沈んだり、眠れなくなったりする
- 出勤前に、腹痛、頭痛、動悸、吐き気などの体の症状が出ることがある
- 以前は楽しめていたことに、あまり気持ちが向かなくなった
- 上司に話しかけられると、体がこわばる
チェックのコツは、「今日だけ」ではなく「最近の数週間」を思い出して数えることです。たまたま忙しい週は疲れが出るものです。それが長く続いているかどうかを見てください。
当てはまる数が少なく、休日にきちんと回復できているなら、次の章からの工夫を試す余裕があります。当てはまるものが多く、休日にも回復できていない状態が続いているなら、工夫を足すより先に、誰かに話すことを優先してください。体の症状が出ているときは、会社の産業医や医療機関に相談する選択肢もあります。ここで病気かどうかを判断することはできません。
気持ちの面で相談先を探すなら、厚生労働省のこころの耳に、働く人向けの相談窓口の案内があります。会社に行きたくない気持ちそのものが強いときは、会社に行きたくないときの整理も読んでみてください。
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距離の取り方を、段階で考える
嫌いな上司への対応は、「我慢するか、辞めるか」の二択ではありません。間にいくつか段階があります。負担の小さい順に、試せるものから試していきましょう。
接点を減らす設計をする
最初にやるのは、気持ちの持ち方を変えることではなく、接点そのものを減らす工夫です。上司と話す回数が減るだけで、消耗は小さくなります。
- 聞きたいことをその場で何度も聞かず、メモにためて、まとめて1回で確認する。
- 報告のタイミングを、上司の機嫌が比較的落ち着いている時間帯に寄せる。
- 口頭で済ませていた報告を、チャットやメールに替えられるものは替える。
- 席が近いなら、イヤホンや資料の置き方で、話しかけられにくい雰囲気をつくる。
ただし、必要な報告や挨拶までなくすのはやりすぎです。業務連絡は最低限続けたうえで、それ以外の接点を減らす、という考え方にしてください。
たとえば、朝一番にまず機嫌を確かめてから声をかける、といった気の使い方は、それだけで消耗します。機嫌をうかがう回数を減らす設計に変えるだけで、1日の疲れ方は変わります。
やり取りを文字に残す
指示が変わる、言った言わないになる、という上司には、文字に残すことが有効です。長い文章は要りません。たとえば、口頭で指示を受けたあとに、次のように送ります。
「先ほどの件、A資料を明日の午前までに修正、という理解で進めます。違っていたらご連絡ください」
こうしておけば、あとから指示が変わっても、冷静に経緯を確認できます。自分を守る記録にもなります。口頭だけで受けたときは、自分用のメモに日付、場面、言われた内容、自分の対応の4点を書いておくだけでも十分です。
感情と業務を分ける
上司の言い方がきついと、内容まで全部が自分への否定に聞こえてしまいます。そこで、聞いた言葉を二つに分けてみます。「直すべき業務の中身」と「言い方や態度」です。前者だけ拾って対応し、後者は上司側の問題として脇に置きます。
たとえば上司から「なんでこんなこともできないんだ」と強い口調で返されたとします。業務の中身として拾えるのは、「この資料のどこかが期待と違っている」という点だけです。残りは、自分の価値とは別の話です。頭の中でこの線を引く練習をすると、帰宅後に引きずる時間が少しずつ減っていきます。
味方を1人つくる
最後に、社内に話せる人を1人つくります。上司の悪口を広めるためではなく、「あの上司は、確かにそういうところがあるよね」と、状況を確認できる相手を持つためです。同じ部署の先輩、隣の部署の人、同期など、利害の薄い人が向いています。
愚痴を言い合う相手は、広げすぎないほうが安全です。話した内容が上司本人に伝わると、関係がさらにこじれることがあります。社内に話せる人がいない、孤立しているという場合は、職場での孤立に関する記事を参考にしてください。
嫌いな理由を「相性」「やり方」「人格否定」に分ける
同じ「嫌い」でも、中身によって取るべき対応は変わります。大きく三つに分けて考えてみます。
- 相性:話し方や価値観が合わない。悪意はなさそうだが、一緒にいると疲れる。
- やり方:指示がころころ変わる、説明が少ない、機嫌で態度が変わるなど、仕事の進め方に問題がある。
- 人格否定・ハラスメントの可能性:人格や存在を否定する言葉が繰り返される、人前で長時間責められる、必要な情報を意図的に渡されない、など。
たとえば、報告のたびに長い雑談が挟まる、話し方が合わないといった場合は相性、指示が日によって変わる場合はやり方、という具合に当てはめてみてください。複数にまたがることもありますし、時期によって変わることもあります。
相性の場合は、先ほどの距離の取り方が中心になります。相手を変えようとせず、接点と受け止め方を調整するのが現実的です。やり方の場合は、文字に残す、確認を取るなど、自分の側で仕組みをつくることで負担を減らせます。
三つ目は、我慢の対象ではありません。ここで言いたいのは、「耐える工夫を磨く段階ではない」ということです。パワーハラスメントにあたるかどうかは、この記事では判断できません。該当する可能性があると感じたときは、社内の人事や相談窓口、あるいは外部の窓口に相談してください。外部の窓口としては、厚生労働省の総合労働相談コーナーがあります。会社を通さずに相談できます。
相談するときのために、日付、場所、言われた内容、その場にいた人を、メモに残しておきましょう。「いつ、何があったか」を説明できると、相談先も状況を理解しやすくなります。
報告や会議で質問を重ねられて詰められるような場面については、仕事で詰められてつらいときの記事で、その場の切り抜け方と限界のラインを整理しています。
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指摘を受け流す返しと、確認の取り方の例
距離を取るといっても、毎日の会話はなくなりません。ここでは、消耗を減らしやすい返し方の例を挙げます。そのまま使わず、自分の職場の言葉遣いに合わせて直してください。
きつい指摘を受けたとき
「ご指摘ありがとうございます。〇〇の部分を直して、再度お持ちします」
感情的に言われて、内容がつかみにくいとき
「直すべき点が〇〇という理解で合っていますか」
指示が前回と変わったとき
「前回は△△というお話でしたが、今回は〇〇に変更、ということでよいでしょうか」
口頭で指示を受けたあと
「念のため、メールにも書いておきます。違うところがあればお知らせください」
その場で判断を迫られたとき
「確認して、午後までにお返事してもよろしいでしょうか」
ポイントは、反論も同意もせず、内容の確認だけをすることです。「ご指摘ありがとうございます」は、相手の言い方を認めているのではなく、業務の中身だけ受け取ります、という返しです。感情のやり取りに入らないので、場が長引きにくくなります。
返し方の練習は、頭の中や帰り道でやっておくと役に立ちます。いざ言われた場面では、緊張して言葉が出てこないことが多いからです。一つだけ、自分の口になじむ言い方を決めておき、それを繰り返し使うくらいで十分です。完璧な返しを目指す必要はありません。
注意したいのは、感情的に言い返したり、挨拶まで無視したりすることです。そのときはすっきりしても、周りからの見え方が悪くなり、あなた自身が不利になりかねません。距離を取ることと、態度で攻撃することは別のものです。
これらの返しを試しても、人格を否定する言葉が止まらない場合は、前の章の「三つ目」に戻って考えてください。返し方の工夫で解決する問題ではない可能性があります。
続ける、異動する、転職する。並べて考える
消耗度と、嫌いな理由の中身が見えてきたら、次は選択肢を並べます。大事なのは、どれか一つを「正解」にしないことです。
- 続ける:消耗度が小さく、距離の取り方で負担が下がっているとき。期限を決めて続ける、という形もあります。
- 環境を変える(異動・相談):上司との関係が主な原因で、仕事自体は続けたいとき。人事や別の上司に、状況を伝えておくことにも意味があります。
- 転職:工夫を重ねても消耗が続き、体や気持ちへの負担が大きいとき。
続ける場合は、「いつまで様子を見るか」を自分で決めておくと、気持ちが楽になります。たとえば、数か月後に消耗度をもう一度測り直し、改善していなければ相談や異動を考える、という決め方です。期限のない我慢は、じわじわと消耗を深くします。
異動は、希望してもすぐに通らないことがあります。それでも、悩みを言葉にして会社に伝えておくと、記録が残り、あとの判断材料になります。
転職は、逃げではありません。ただ、上司から離れたい一心で急ぐと、次の職場でも似たタイプの上司に当たる可能性があります。この記事の筆者である僕は、新卒入社11か月で転職し、嫌いな上司から離れました。転職後は、信頼できる上司に出会えました。ただ、これは一つの例です。転職が合う人もいれば、続けるほうが合う人もいます。
転職を考え始めたときは、辞めたい気持ちの整理に関する記事で、辞める前に確認したいことをまとめています。転職理由の伝え方は、第二新卒の転職理由の伝え方が参考になります。
状況に応じて、次に読む記事
今の状況に近いものがあれば、あわせて読んでみてください。
- 詰められる場面がつらい:仕事で詰められてつらいときの切り抜け方と限界のライン
- 職場で孤立している:職場での孤立がつらいときの対処
- 会社に行きたくない気持ちが強い:会社に行きたくないときの整理
- 辞めたい気持ちが出てきた:辞めたいときに先に確認したいこと
- 仕事を教えてもらえず放置されている:教えてもらえない新人が自分で動ける範囲と相談先
- 新人・2年目の仕事の悩みを広く見たい:新人・2年目の仕事の悩み一覧
どらすた
この記事を含む一覧: 転職して1年目の悩み一覧|中途入社でつまずいたときに読む記事まとめ
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