仕事が遅い新人へ|焦りの正体と速くなる順番

仕事が遅い新人へ 焦りの正体と速くなる順番

悩める会社員

同期や先輩と比べて、明らかに自分だけ作業が遅いです。「まだ終わらないの」と言われて、残業も増えてきました。急ごうとするとミスが出て、直しているうちにさらに遅くなります。このまま仕事についていけるのか、不安でたまりません。

どらすた

焦りますよね。ただ、新人が遅いのは珍しいことではなく、原因を分けて見ると、直す順番が見えてきます。今日は、遅くなる原因の分解、遅いと丁寧の違い、速くなる順番、時間の使い方を測る方法、先に伝える言い方、遅いと言われたときの受け答えまで、順に整理していきます。

この記事の軸は「作業の速度」です。ミスを減らす仕組み、メモの取り方、質問の組み立て方は、それぞれ専門の記事があるので、ここでは触れる程度にとどめてリンクでご案内します。以下に出てくる会話や状況は、説明のための例です。自分の仕事に置き換えて読んでください。

新人が遅いのは当たり前なのか

結論から言うと、入社して間もない時期に先輩より遅いのは、自然なことです。先輩は何年もかけて、判断の基準や手順、資料のありかを頭に入れています。新人はそれをまだ持っていないので、同じ作業でも、考える時間や探す時間が余分にかかります。作業そのものが遅いのではなく、作業の周りにある時間が長いのです。

ここを取り違えると、「手を速く動かさなければ」と考えてしまいます。しかし多くの場合、時間は手を動かしている間ではなく、止まっている間に消えています。まずは「自分はどこで止まっているのか」を知ることが、速くなる最初の一歩です。

もちろん、当たり前だからといって何もしなくてよいわけではありません。遅さの正体を分けて、直せるところから直していく。その流れをこの記事でお伝えします。

仕事が遅くなる原因を分けて見る

「遅い」とひとまとめにすると、対策が見えません。新人によくある原因は、次の五つに分けられます。自分に近いものがどれか、考えながら読んでください。

判断で止まっている

「この資料はどの形式で出すのか」「この数字は丸めていいのか」など、小さな判断で手が止まるタイプです。判断の基準を知らないので、毎回ゼロから悩んでしまいます。悩んでいる時間は、外から見ると何もしていないように見えがちです。

探す時間が長い

ファイルの保存場所、過去の資料、担当者の連絡先などを探すだけで、時間が過ぎていくタイプです。仕事の中身は分かっているのに、材料が手元にそろうまでが長い状態です。

確認待ちで止まっている

先輩に聞きたいことがあるのに、忙しそうで声をかけられず、そのまま待ってしまうタイプです。あるいは、確認を一つ終えるたびに作業を止めて、返事を待っているケースもあります。

完璧にしようとしている

ミスを恐れて、何度も見直したり、細部に時間をかけすぎたりするタイプです。丁寧であることは良いことですが、求められている水準より上を目指していると、時間が足りなくなります。

手順を毎回思い出している

慣れていない仕事では、毎回「次は何をするんだっけ」と手順を思い出す時間がかかります。手が止まるたびに、頭の中で手順をたどり直している状態です。これは経験が増えると自然に減りますが、仕組みで早めることもできます。

悩める会社員

全部当てはまる気がします。しかも、どれが一番大きいのか自分では分かりません。

どらすた

全部当てはまるのは、よくあることです。大きいものから直せば十分なので、後ほど、自分の時間の使い方を測る方法を紹介します。その前に、「遅い」と「丁寧」の違いを整理しておきましょう。

「遅い」と「丁寧」は別のもの

遅いことと、丁寧なことは、同じではありません。丁寧とは、必要なところに必要なだけ注意を向けることです。遅いとは、必要のないところにも時間を使ってしまうことです。

たとえば、社内向けの下書きの資料を、社外に出す資料と同じ細かさで整えていたら、それは丁寧ではなく、力の配分がずれている状態です。逆に、お客様に出す書類の数字は、時間をかけて確認するべき場面です。

丁寧さを優先すべき場面と、速さを優先すべき場面は、おおまかに次のように分かれます。

  • 丁寧さを優先する:お金や数字が動くもの、社外に出るもの、あとから直しにくいもの。
  • 速さを優先する:社内の下書き、途中経過の共有、やり直しが簡単なもの、相手が急いでいるもの。

どちらか判断がつかないときは、「これはどこまでの出来を求められていますか」と最初に聞いてしまうのが近道です。求める水準が分かれば、そこに向けて時間を配分できます。質問の組み立て方に迷う場合は、何が分からないか分からないときの質問の仕方が参考になります。

速くなる順番は「止まる時間」から

速くなろうとして、いきなり手を速く動かすのは、いちばん効果が出にくい方法です。しかも、焦ると雑になり、ミスが増えます。おすすめの順番は次の四つです。

まず、止まる時間を減らす

最初に手をつけるのは、判断や探し物で止まっている時間です。ここが一番大きいことが多く、減らせたときの効果も大きくなります。判断で止まるなら、「迷ったらこうする」という自分なりの仮ルールを決めて進め、あとで確認します。探し物で止まるなら、よく使うファイルの場所を一覧にしておきます。

次に、手順を固定する

毎回思い出している手順は、書き出して固定します。よくやる作業ごとに、順番を数行で書いたものを一つ作っておくだけで、思い出す時間が減ります。頭ではなく紙や画面に手順を置いておく、という考え方です。書き方のコツは、仕事で差がつくメモの取り方も参考になります。

そして、確認のタイミングをまとめる

確認のたびに作業を止めていると、待ち時間が増えます。聞きたいことは手帳やメモ欄にためておき、先輩が落ち着いたタイミングに、まとめて聞きます。ただし、進め方の根本に関わることは、ためずに早めに聞いてください。間違った方向に進むと、あとの手戻りが大きくなります。

最後に、手の速さ

タイピングやショートカットなど、手の速さは最後です。ここは慣れと経験で自然に上がる部分が大きく、先に頑張っても全体の時間はあまり変わりません。止まる時間、手順、確認が整った後に、余力があれば磨く、くらいの位置づけで大丈夫です。

自分のどこで時間がかかっているかを測る

感覚で「遅い」と思っていても、どこで時間が消えているかは、意外と自分では分かりません。そこで、1週間だけ、ごく簡単な記録をつけてみてください。細かく測る必要はありません。ひと仕事ごとに、手が止まった場面を一言書き残す程度で十分です。

1週間の記録のチェック項目
  • その仕事の内容と、始めた時刻・終えた時刻
  • 手が止まった場面(判断で迷った/探し物をした/返事を待った/見直しを重ねた/手順を思い出した)
  • 止まった時間は、ざっくりどれくらいか
  • 先輩だったらどうしたか(分かれば)
  • その日のうちに、次に同じ仕事をするときの工夫を一つ

1週間たったら、止まった場面の種類ごとに眺めてみましょう。「探し物がいちばん多かった」「確認待ちが何度も出てきた」など、偏りが見えてきます。偏りが分かれば、先ほどの順番のどこから手をつけるかが決まります。

記録は、自分を責めるためのものではありません。「遅い」という漠然とした不安を、「ここで止まっている」という具体的な事実に変えるための道具です。事実になれば、直し方を考えられます。

「時間がかかりそうです」と先に伝える

速さと同じくらい、新人にとって大切なのが、見通しを先に伝えることです。同じ時間がかかるとしても、先に「時間がかかりそうです」と言われていれば、周りは予定を組み直せます。何も言われずに期限を過ぎると、遅さそのものより、見通しが分からないことが問題になります。

伝えるタイミングは、期限の直前ではなく、「間に合わないかもしれない」と気づいた時点です。早いほど、相手が選べる手段が増えます。

先に伝える言い方・期限の相談の例

「この作業は初めてなので、思ったより時間がかかりそうです。今の見通しでは、明日の午前中までかかります」

「期限は本日の17時とうかがっていますが、確認が必要な点があり、間に合わない可能性があります。16時の時点で進み具合をお伝えしてもよろしいでしょうか」

「優先順位が重なっていて、両方は難しそうです。どちらを先に進めたほうがよいか、教えていただけますか」

「ここまでは終わっています。残りは明日の朝に仕上げて、10時までにお渡しします。それでも間に合いますか」

ポイントは三つあります。今どこまで進んでいるか、あとどれくらいかかりそうか、相手に判断してほしいことは何か。この三つを短く添えると、相手も返事がしやすくなります。例文は、そのまま使わず、自分の職場の言葉遣いに合わせて調整してください。

悩める会社員

頭では分かっても、急かされると焦って、つい雑に仕上げてしまいます。

どらすた

その悪循環は、多くの新人が通ります。次の節で、止め方を具体的に書きます。

雑になりそうなとき、遅いと言われたときの向き合い方

速さを求められて雑になる悪循環の止め方

急ぐ、雑になる、ミスが出る、直す、さらに遅くなる。この輪を止めるには、「全部を速くしない」ことが役に立ちます。速さを出す場所と、丁寧にする場所を分けるのです。

  • 速くしてよいのは、判断・探す・確認待ちの時間。ここを縮めます。
  • 丁寧にするのは、数字や宛先など、間違えると戻れない部分。ここは時間をかけて構いません。

つまり、手を動かす速さを上げるのではなく、止まる時間を減らして、確認に使える余裕をつくるのです。ミスを仕組みで防ぐ具体的な方法は、ケアレスミスを仕組みで減らす対策にまとめています。

先輩に「遅い」と言われたときの受け答え

「遅いね」と言われると、責められたように感じて、言い訳か謝罪のどちらかに寄りがちです。ここでは、事実と、次の動きを短く返すのが落ち着いた対応です。たとえば、次のような返し方があります。

  • 「申し訳ありません。今は〇〇の確認で時間を使っています。次は先に手順を整理してから進めます」
  • 「どこが遅いか、教えていただけますか。直せるところから直したいです」
  • 「この作業は、どれくらいの時間が目安でしょうか。そこに合わせて進め方を見直します」

三つ目のように、目安の時間を聞くのは有効です。自分が遅いと思っていても、実は求められている水準と合っているケースがあります。逆に、大きくずれているなら、そのずれが分かるだけでも前進です。

ただし、言い方が人格を否定するようなものだったり、繰り返し強い言葉で責められたりする場合は、速度の問題とは別の問題です。一人で抱えずに、上司や社内の相談窓口に伝えてください。

焦りとの付き合い方

焦りは、周りに追いつきたい気持ちの表れです。気持ちそのものは悪いものではありません。ただ、焦っている状態は視野が狭くなり、判断が雑になります。

焦ったときは、作業の手を止めて、深呼吸を一度してから、「今いちばん先にやることは何か」を一つだけ決めてください。全部を同時に終わらせようとせず、一つずつ片付ける。それが結果的にいちばん速い進め方です。

また、同期と比べて落ち込むときは、比べる相手を「過去の自分」に変えてみてください。先月の自分より、止まる時間が減ったか。それを見るほうが、現実的な前進をつかめます。自信が持てないときの考え方は、仕事に自信がない新人向けの考え方も読んでみてください。

いつまで続くのかの目安

「何か月たてば速くなる」と期間で言い切ることはできません。仕事の内容も職場の環境も、人によって違うからです。代わりに、状態で確認する目安を挙げます。

  • 手順を思い出さずに動ける仕事が、少しずつ増えている。
  • 探し物をする場面が、前より減っている。
  • 聞きたいことを、まとめて聞けるようになっている。
  • 時間がかかりそうなときに、先に自分から伝えられている。

一つでも増えていれば、進んでいます。速さは、ある日急に身につくものではなく、止まる場面が一つずつ減っていった結果として現れます。

状況に応じて、次に読む記事

今の状況に近いものがあれば、あわせて読んでみてください。

どらすた

遅いのは、能力の問題というより、止まっている場面がまだ多いだけのことがほとんどです。まず1週間、どこで止まっているかを記録して、大きいところから一つずつ減らしてみてください。見通しを先に伝えることも、立派な仕事の速さです。焦る日があっても大丈夫です。少しずつ進んでいきましょう。

今の状況を整理したい方へ

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