アサーティブとは?意味と3タイプの違いを解説

アサーティブとは?意味と使い方を解説

新入社員くん
新入社員くん
上司に「アサーティブはしっかり学んでおけ」って言われたんだけど、正直ピンとこなくて…
今回はビジネスの人間関係でよく使われる「アサーティブ」について、意味と具体的な伝え方を解説していくよ
クマ先生
クマ先生

アサーティブとは?意味をわかりやすく解説

アサーティブとは、相手を尊重しながら、自分の意見や気持ちも率直に伝えるコミュニケーションのあり方をいいます。

ビジネスの現場では、意見がぶつかる場面が日常的に起こります。納期の相談、仕事の依頼、進め方の違い、上司や同僚との温度差など、誰かと誰かの考えが一致しないことは珍しくありません。

そうした場面での関わり方は、大きく3つのタイプに分けて説明されることがあります。ひとつは自分の意見を押し通し、相手の都合を後回しにする「攻撃的(アグレッシブ)」なタイプ。もうひとつは自分の意見を抑え込み、相手の意向に合わせてしまう「非主張的(ノン・アサーティブ)」なタイプ。そしてアサーティブは、この両方の間に位置し、自分の意見も相手の意見も同じように大切にしようとする関わり方です。

大事なのは、アサーティブが「言いたいことを何でも言っていい」という発想ではない点です。相手の立場や事情を無視して主張すればアグレッシブになりますし、逆に相手に合わせすぎて自分の意見を飲み込み続ければノン・アサーティブになります。アサーティブは、その中間で自分の考えを言葉にしながら、相手の考えにも耳を傾けるバランス感覚に近いものです。

新入社員や若手のうちは、「意見を言って角が立つのが怖い」「反論だと思われたくない」という理由で、つい自分の意見を飲み込んでしまうこともあると思います。それ自体は決して弱さではなく、職場の空気や上下関係のなかで自然に身についた振る舞いであることも多いです。ただ、伝え方を少し工夫するだけで、相手を責めずに自分の考えを伝えられる場面は増えていきます。

またアサーティブな伝え方は、単に「言いたいことを言う」ためだけのものではなく、周囲との信頼関係を築くうえでも役立つ考え方です。自分の意見だけを押し通す人よりも、相手の話にも耳を傾けながら意見を伝えられる人のほうが、長い目で見ると周囲から相談されやすくなったり、仕事を任されやすくなったりすることもあります。

語源(英語表記)

アサーティブは英語の”assertive”(主張する、断定的な)に由来する言葉です。心理学や行動療法の分野で使われてきた”assertiveness”(アサーティブネス)が語源で、日本語では「自己主張」「自己表現」などと訳されることがあります。

もともとは1950〜70年代のアメリカで、対人関係が苦手な人を支援するための心理療法として発展した考え方で、日本には1980〜90年代にかけて「アサーショントレーニング」という研修プログラムの形で紹介されました。現在では人材育成や研修の分野を中心に使われる言葉ですが、一般的な認知度はまだ高いとはいえず、社内研修などで初めて耳にする人も少なくありません。

身近なアサーティブの例

会議で違う意見を伝えるとき
「それは違うと思います」とだけ言うのではなく、「その進め方も理解できます。一方で、こういう懸念もあると思うのですが、どうでしょうか」と、相手の意見を認めたうえで自分の考えを添える伝え方です。

仕事を依頼するとき
「これやっといて」と一方的に伝えるのではなく、「今この作業をお願いしたいのですが、今の業務量的に難しそうであれば教えてください」と、相手の状況を確認しながら依頼する伝え方です。事前に状況をヒアリングしてから依頼できると、より受け取りやすくなります。

頼まれごとを断るとき
「無理です」とだけ返すのではなく、「今日中の対応は難しいのですが、明日の午前中であれば対応できます」と、理由と代案をセットで伝える断り方です。

後輩や部下に注意するとき
「なんでこんなミスしたの」と相手を責める言い方ではなく、「この部分でミスがあったので、次はこう確認してもらえると助かります」と、事実と改善案を分けて伝える伝え方です。

進捗の遅れを報告するとき
遅れを隠したり曖昧にごまかしたりせず、「予定より遅れていて、原因は〇〇です。挽回のためにこう進めます」と、事実・原因・対応策の順で伝える伝え方です。

取引先と条件を調整するとき
「その条件は厳しいです」とだけ伝えるのではなく、「弊社としては〇〇という事情があります。この部分を調整いただくことは可能でしょうか」と、自社の事情を説明したうえで交渉する伝え方です。

ビジネスでの使い方

会議や報告の場面では、アサーティブな伝え方が特に役立ちます。たとえば相手の対応に疑問を感じたとき、「なんでこうなってるんですか」とストレートに聞いてしまうと、相手を責めているように受け取られることがあります。同じ内容でも「この部分の意図を教えていただけますか」と聞き方を変えるだけで、相手は責められている印象を持ちにくくなります。

フィードバックを伝える場面でも同様です。「ここが良くないと思います」という評価だけで終わらせず、「私はこの部分に難しさを感じました。こうするともっと伝わりやすくなると思うのですが、どうでしょうか」というように、自分を主語にした「アイ・メッセージ」で伝えると、相手も受け止めやすくなります。「あなたはいつも〜だ」という主語ではなく、「私は〜と感じた」という主語に変えるのが、アサーティブな伝え方の基本の型です。

依頼するときも、命令口調ではなく「〜してもらえると助かります」「〜をお願いできますか」という形にすると、相手の意思を確認しながら仕事を進められます。断るときも、ただ拒否するのではなく、理由と代替案をセットで伝えることで、関係を保ちながら自分の状況も伝えられます。

また、1on1や部署をまたいだ打ち合わせなど、相手との関係性が異なる場面でも考え方は共通しています。相手が上司であっても後輩であっても、事実と意見を分けて伝え、相手の状況を確認しながら話すという基本は変わりません。

若手が明日から使えるアサーティブな伝え方

アサーティブな伝え方を身につけるうえで、意識しておきたいポイントをいくつか紹介します。

事実と意見を分けて話す
「遅れています」という事実と、「このままでは間に合わないと感じています」という意見は別のものです。この2つを混同せずに伝えると、相手にも状況が伝わりやすくなります。

相手を責めずに、自分を主語にする
「あなたのやり方が悪い」ではなく、「私はこう感じた」「私はこうしてほしいと思っている」という言い方に変えると、相手も防御的にならずに話を聞きやすくなります。

代案をセットで出す
反対意見を伝えるときは、否定だけで終わらせず、「こうすればどうでしょうか」という代案を添えると、建設的な話し合いにつながりやすくなります。

断るときは理由と代替案を添える
ただ断るのではなく、「今日は難しいですが、明日なら対応できます」というように、理由と代替の選択肢を一緒に伝えると、関係を損ないにくくなります。

研修などで行われる「アサーショントレーニング」では、こうした言い換えをロールプレイ形式で練習することもあります。いきなり大きな場面で試すのではなく、日常の小さなやり取りから少しずつ言葉を変えてみると、無理なく取り入れやすくなります。

一方で、こうした伝え方を知っていても、職場の空気や上下関係によっては、実際には言い出しにくい場面があるのも事実です。相手の立場が強かったり、過去に意見を言って否定的な反応をされた経験があったりすると、伝え方を工夫するだけではどうにもならないこともあります。新入社員の悩みとしてよく挙がるように、意見を言えないこと自体は本人の弱さの問題ではなく、状況によって誰にでも起こりうることです。無理にすべての場面でアサーティブに振る舞おうとせず、言わなくてよい場面があってもよいと思います。

なお、これがパワーハラスメントに近いような深刻な状況である場合は、伝え方の工夫だけで解決しようとせず、一人で抱え込まずに、社内の相談窓口や、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなど社外の窓口に相談する選択肢もあります。労務や法律に関わる内容については、就業規則や専門家にあわせて確認することをおすすめします。

会話例文

新入社員くん
新入社員くん
先輩の資料、ここの数字おかしくないですか、って言いたいんだけど、強く聞こえないか心配で…
「なんでこうなってるんですか」じゃなくて、「この部分の数字について、意図を教えていただけますか」って聞くと、責めている感じにならずに済むよ
クマ先生
クマ先生
新入社員くん
新入社員くん
なるほど。じゃあ仕事を断るときも、ただ「無理です」って言うんじゃなくて理由を添えたほうがいいのかな
そうだね。「今日中は難しいですが、明日の午前中なら対応できます」って伝えると、断りつつ代案も示せるよ
クマ先生
クマ先生
新入社員くん
新入社員くん
後輩に注意するときも、感情的になりそうで苦手なんだよね
「なんでミスしたの」じゃなくて、「この部分でミスがあったから、次はこう確認してもらえると助かる」って伝えると、事実と改善案が分かれて伝わりやすくなるよ
クマ先生
クマ先生
新入社員くん
新入社員くん
正直、上司相手だと意見を言うこと自体がまだ怖いんだけど、それって僕が弱いってことなのかな…
弱さの問題じゃないと思うよ。関係性や職場の空気で言いにくいのは自然なことだし、無理に全部言おうとしなくても大丈夫だよ
クマ先生
クマ先生
新入社員くん
新入社員くん
少しずつでも、自分の考えを伝える練習をしてみようかな
うん、まずは事実と自分の気持ちを分けて話すことから始めてみるといいよ
クマ先生
クマ先生

類語との違い

アグレッシブとの違い
アグレッシブは自分の意見や利益を優先し、相手の意向を押しのけてしまう関わり方です。会議で相手の発言を遮って自分の意見だけを通そうとする関わり方は、アグレッシブな例のひとつだといえます。アサーティブは自分の意見を伝えつつ、相手の意見も同じように尊重する点で異なります。

アサーションとの違い
アサーションは「自己主張」そのものを指す言葉で、アサーティブはその主張の仕方が相手を尊重した形になっている状態を指します。「主張する内容そのもの」がアサーションで、「その主張をどう伝えるか」がアサーティブ、と整理すると分かりやすくなります。両者はセットで使われることが多く、研修では「アサーショントレーニング」として、アサーションの技術を学ぶ形で扱われます。

傾聴との違い
傾聴は相手の話を丁寧に聴く姿勢を指す言葉です。アサーティブは自分の意見も伝える点が異なりますが、相手の話をコンフリクトに発展させずに受け止める土台として、傾聴の姿勢が欠かせない場面も多くあります。相手の話を最後まで聞かずに自分の意見を挟んでしまうと、アサーティブというよりアグレッシブに近づいてしまうため、傾聴とセットで意識すると効果的です。

関連用語

アサーティブとあわせて理解しておくと、職場でのコミュニケーションが整理しやすくなる用語です。

ほかのビジネス用語はビジネス用語集一覧から探せます。

まとめ

アサーティブとは、相手を尊重しながら自分の意見も率直に伝えるコミュニケーションのあり方です。自分の意見を押し通すアグレッシブ、自分を抑えるノン・アサーティブと比べると、その中間で両方を大切にしようとする関わり方だといえます。

伝え方としては、事実と意見を分けて話す、相手を責めずに自分を主語にする、代案をセットで出す、断るときは理由と代替案を添える、といった工夫が挙げられます。どれも今日の会話からすぐに試せる小さな工夫です。

ただし、言いたいことを言えないのは本人の弱さのせいではなく、職場の関係性や力関係によって言いにくい場面が実際にあります。無理にすべての場面でアサーティブに振る舞おうとしなくてもよく、言わなくてよい場面もあります。パワーハラスメントに近いような深刻な状況であれば、一人で抱え込まず、社内の相談窓口や都道府県労働局の総合労働相談コーナーなど社外の窓口に相談する選択肢もあります。

まずは小さな一言から、自分の考えを伝えることを試してみてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です