ダイバーシティーとは?意味やインクルージョンとの違いを解説

ダイバーシティーとは?意味と使い方を解説

今回はビジネス用語解説テーマ「ダイバーシティー」についてです。

新入社員くん
新入社員くん
上司に「うちのチームはダイバーシティーを大切にしている」って言われたんだけど、具体的にどういう意味なんだろう…
今回はビジネスの現場でよく使われる「ダイバーシティー」について、インクルージョンとの違いも含めて解説していくね
クマ先生
クマ先生

ダイバーシティーとは?意味をわかりやすく解説

ダイバーシティーとは、性別や年齢、価値観など、多様な属性や経験を持つ人が共に働いている状態を指すビジネス用語です。

もともとは英語圏で使われてきた言葉ですが、近年は日本の企業でも「ダイバーシティー推進」「ダイバーシティー経営」といった形で、採用や組織づくりの文脈で使われる機会が増えています。単に人数構成の話にとどまらず、組織の中にどれだけ幅広い価値観や経験があるかを表す言葉として使われている点が特徴です。

英語のdiversityは「多様性」「相違」を意味する単語で、ラテン語の「diversitas(方向の違い、多様さ)」を語源とすると説明されることがあります。日本語のビジネスシーンでは「多様性」と訳されることが多い一方で、カタカナ語の「ダイバーシティー」がそのまま使われる場面も多く見られます。「ダイバーシティーのある組織」「ダイバーシティー推進室」のように、名詞として使われるのが一般的です。

なお、表記としては長音符を省いた「ダイバーシティ」も使われており、どちらの表記が正しいというよりも、企業や媒体によって使い分けられていると考えたほうが実情に近いです。求人票や企業サイトを読み比べていると、同じ会社の中でも文章によって表記が揺れていることがありますが、意味そのものは変わりません。

表層的な多様性と深層的な多様性

ダイバーシティーは、大きく「表層的な多様性」と「深層的な多様性」の2つに分けて説明されることがあります。両者の違いを知っておくと、この言葉が指している範囲をより具体的にイメージしやすくなります。

表層的な多様性とは、性別、年齢、国籍、障害の有無など、比較的外から見えやすい属性の違いを指す、とされています。採用や組織の構成を語るとき、まず話題に上がりやすいのがこの表層的な多様性です。

深層的な多様性とは、価値観、考え方、働き方への志向、キャリアの経験など、外からは見えにくい違いを指す、と説明されることが多いです。同じ部署で働く社員であっても、これまで歩んできたキャリアや大切にしている価値観は一人ひとり異なります。

採用や組織づくりの場面では、表層的な多様性だけでなく、深層的な多様性にも目を向けることが大切だと考えられています。性別や年齢の構成が近い人たちが集まっていても、経験してきた業界や職種、働き方に対する考え方が異なれば、意見や発想の幅は広がる可能性があります。反対に、表層的な属性にばらつきがあっても、価値観や考え方が偏っていれば、組織としての多様性は十分に生かされないこともあります。

たとえば、中途採用者や第二新卒、外国籍の社員、育児や介護と両立しながら働く社員など、働き方の背景が異なる人材が同じチームにいる状況を思い浮かべると、深層的な多様性のイメージがつかみやすくなります。表層的な属性だけを基準に「多様な組織かどうか」を判断してしまうと、実際にはどのような経験や視点が組織の中にあるのかが見えにくくなる点には注意が必要です。

インクルージョンとの違い

ダイバーシティーとセットで語られることが多い言葉に「インクルージョン(inclusion)」があります。日本語では「包摂」「受容」などと訳されることが多い言葉です。

ダイバーシティーが「多様な人がいる状態」を指すのに対して、インクルージョンは「多様な人たちが、それぞれの個性や能力を発揮できている状態」を指す、と説明されることが多いです。つまり、組織に多様な人材が集まっていたとしても、その人たちが力を発揮しにくい環境であれば、インクルージョンが実現しているとは言いにくい、という考え方になります。

たとえば、多様な国籍や年齢層の社員を採用していても、特定の立場の人の意見だけが会議で通りやすい状態が続いていれば、ダイバーシティーはあってもインクルージョンは伴っていない、という状況になり得ます。ダイバーシティーは組織の「構成」に関する話であり、インクルージョンはその構成をどう生かすかという「運用」に近い話だと捉えると、違いをイメージしやすくなります。

近年では、この2つを組み合わせた「D&I(Diversity & Inclusion)」という言葉や、公平性(Equity)の視点を加えた「DE&I」という言葉も使われるようになっています。求人票や企業の採用ページで「D&I」「DE&I」といった表記を見かけた場合は、多様な人材を受け入れるだけでなく、一人ひとりが働きやすい環境づくりにも取り組む姿勢を示している、と理解しておくとよいでしょう。

ダイバーシティーとインクルージョンは、どちらか一方だけを掲げていても、実態として噛み合わないことがあると指摘されることがあります。多様な人材を採用する取り組み(ダイバーシティー)と、採用した人材が力を発揮できる環境を整える取り組み(インクルージョン)は、別の課題として扱う必要がある、という考え方です。求人票で「ダイバーシティー」という言葉だけが強調されている場合と、「インクルージョン」や「D&I」まで踏み込んで説明されている場合とでは、企業が意識している範囲に違いがあるのかもしれない、という見方もできます。

企業が取り組む背景

企業がダイバーシティーの推進に取り組む理由としては、次のような点が挙げられることがあります。

  • 労働力人口の構成が変化していく中で、多様な人材を採用の対象に含めることで、人材確保の選択肢を広げられる可能性がある
  • 年齢や国籍、キャリアの背景が異なるメンバーが集まることで、一つの視点に偏らない意思決定につながる可能性がある
  • 市場や顧客のニーズが多様化していく中で、社内の視点も多様にしておくことで、変化に対応しやすくなると考えられている
  • 働き方に対する社員の希望が多様になっていることを踏まえ、柔軟な制度を整えることで、既存の社員の定着にもつながると考えられている

ただし、ダイバーシティーに取り組んだからといって、業績の向上が約束されるわけではありません。多様な人材を採用するだけでなく、前述したインクルージョンを含めた組織づくりが伴って初めて、その効果が発揮されると考えられています。制度の有無や取り組みの内容は企業ごとに差があるため、「ダイバーシティーに取り組んでいる会社だから、こういう働き方ができるはずだ」と決めつけずに、実際の制度や運用まで確認する姿勢も大切です。

転職活動をしている方にとっても、企業がダイバーシティーにどう向き合っているかは、働きやすさを考えるうえで一つの手がかりになります。中途採用者やキャリアの背景が異なる人材を積極的に受け入れてきた会社では、新しく入社した人が孤立しにくい雰囲気が整っていることもあります。第二新卒として転職を考えている方は、志望企業がこれまでどのような人材を受け入れてきたかを、求人票や採用ページの情報から確認してみるのも一つの方法です。

会話例文でダイバーシティーの使い方を確認

「弊社ではダイバーシティーを重視した採用を行っており、さまざまなバックグラウンドを持つ社員が活躍しています」

採用ページや求人票でよく見かける表現です。多様な人材を受け入れる方針を伝える文脈で使われます。

「このプロジェクトチームはダイバーシティーがあるので、多角的な視点から意見が出やすいと感じています」

チームの構成が多様であることを、意見の幅広さと結びつけて説明している例です。

「ダイバーシティー推進の一環として、育児や介護と両立しやすい働き方を選べる制度を整えています」

制度づくりの文脈でダイバーシティーという言葉が使われる例です。

「面接では、ダイバーシティーの観点から、これまでのキャリアで得た多様な経験についても伺いたいと思います」

面接の場面で、応募者の経験の幅を確認する意図を伝える例文です。

「経営層は、ダイバーシティーを単なるスローガンにせず、日々の業務の中でどう実践するかを議論しています」

言葉だけが先行しないよう、実際の運用まで意識している様子を表す例です。

「ダイバーシティーだけでなく、インクルージョンの視点も含めて職場環境を見直していきたいと考えています」

多様な人材を受け入れるだけでなく、力を発揮できる環境づくりまで意識していることを伝える例文です。

新入社員くん
新入社員くん
なるほど、ダイバーシティーとインクルージョンってセットで考えるものだったんだね
そうだね。多様な人がいるだけじゃなく、それぞれが力を発揮できる環境まで考えることが大事なんだ
クマ先生
クマ先生

関連用語

ダイバーシティーの類語・関連語として、以下のような言葉が挙げられます。

  • 多様性:ダイバーシティーの日本語訳として使われる言葉です。
  • インクルージョン:多様な人材がそれぞれの力を発揮できている状態を指す言葉です。
  • ダイバーシティマネジメント:多様な人材が能力を発揮できるように、組織や制度を設計・運用する取り組みを指す言葉です。

ダイバーシティーへの理解を深めるうえでは、関連するビジネス用語もあわせて確認しておくと整理しやすくなります。

  • バイアス:採用や評価の場面で生じやすい、無意識の思い込みを指す言葉です。
  • プロパー:新卒からその会社に在籍する社員を指す言葉で、中途採用者との違いを考えるうえで参考になります。
  • コンピテンシー:成果につながる行動特性を指す言葉で、多様な人材の評価基準を考える際にも関わってきます。
  • サスティナビリティ:企業が持続的に成長していくための取り組み全般を指す言葉で、ダイバーシティー推進もその一部として語られることがあります。
  • アセスメント:人材の能力や特性を客観的に評価する取り組みを指す言葉です。
  • 第二新卒の転職理由の伝え方:第二新卒として転職を考える方に向けた記事で、多様なキャリアの伝え方を知るうえで参考になります。

ほかのビジネス用語はビジネス用語集一覧から探せます。

「ダイバーシティー」を使うときの注意点

ダイバーシティーという言葉を使う際は、いくつか注意しておきたい点があります。

まず、性別や国籍、年齢といった属性について、特定の属性を前提にした決めつけた表現は避けることが望ましいとされています。「〇〇の人はこうだ」といった一般化は、多様な人材を尊重するというダイバーシティー本来の趣旨と矛盾してしまう可能性があります。

また、ダイバーシティーに関する制度や法律の扱いは、企業や国によって異なる場合があります。断定的に説明するのではなく、「一般的にはこのように説明されることが多い」という姿勢で情報を扱うことが大切です。政治的な立場に結びつけて語られることもある言葉ですが、ビジネスの場面では、組織づくりや働き方の話として扱うのが基本になります。

さらに、ダイバーシティーを採用活動のアピール材料として掲げるだけで、実際の職場環境が伴っていないケースも指摘されることがあります。求人票や採用ページの表現だけでなく、実際にどのような人材が、どのように働いているかをあわせて確認しておくと、企業への理解が深まりやすくなります。

加えて、「多様な人材がいること」自体を目的化してしまい、一人ひとりの事情や希望を丁寧に聞かないまま制度だけを整えてしまうケースもあると言われています。ダイバーシティーはあくまで組織の状態を表す言葉であり、そこで働く一人ひとりの事情は個別に異なります。制度の名前や取り組みの有無だけで判断せず、実際にどのように運用されているかまで意識して使う言葉だと捉えておくとよいでしょう。

まとめ

ダイバーシティーとは、性別や年齢、価値観など、多様な属性や経験を持つ人が組織の中で共に働いている状態を指す言葉です。表層的な多様性と深層的な多様性という2つの見方があること、そしてダイバーシティーとインクルージョンはセットで語られることが多いという点を押さえておくと、ビジネスの場面で使われる際の理解がより深まります。

企業がダイバーシティーに取り組む背景には、人材確保や多様な視点の確保、変化への対応といった理由が挙げられますが、取り組めばそのまま成果につながるとは限らず、インクルージョンを含めた組織づくりがあって初めて効果が発揮されると考えられています。

転職活動においては、企業がダイバーシティーにどのように向き合っているかを知ることが、自分に合った職場を見極める一つの手がかりになります。求人票や採用ページの情報をきっかけに、実際の職場の雰囲気や制度についても確認しながら、転職先を検討してみてください。

言葉としてのダイバーシティーは、性別・年齢・国籍といった属性の話から、価値観や働き方といった深層的な部分まで、幅広い意味で使われる言葉です。使う場面や相手によって、どの範囲を指しているのかが変わることもあるため、会話や求人票の中でこの言葉に出会ったときは、具体的に何を指しているのかを一度確認してみる姿勢が役立ちます。

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